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なっとく法律相談  2002年5月 7日 更新

顧客データの持ち出しは罪になる?

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Q.

 社員が会社のハードディスクから顧客データを抜き取り、個人のフロッピーにコピーして持ち出しています。このことは法に触れるのでしょうか?

(50代:男性)

A.

 顧客情報の持ち出しは、当然に何らかの罪にあたると思われがちですが、実は難しい問題を含んでいます。

 従来、刑法窃盗などの対象となるもの(客体)を形のある物(有体物)に限定してきました。その後の改正によって、電気も窃盗の客体となり(刑法245条)、判例も物理的に管理のできる物については、窃盗の客体となることを認めています。しかし、現在のところ、情報そのものを窃盗の客体と認めた法律はありません。

 とはいえ、このような行為を不可罰とするのは、一般の常識からは離れた結果となってしまいます。そこで、実務では顧客情報をコピー機を使ってコピーしたり、会社のフロッピーディスクを使ってコピーした場合には、そのコピー用紙やフロッピーディスクそのものの窃盗として処理しています。
 しかし、こうした構成をとったとしても、自分のフロッピーにコピーした場合には、窃盗罪が成立しません。

 そこで次に、背任罪の成立を考えることになります。背任罪が成立するためには、他人のために事務を処理する者が、自己又は他人の利益を図りまたは本人に損害を加える目的で、その任務に背く行為をし、本人に財産上の損害を加える必要があります(刑法247条)。
 たとえば、顧客データの追加・変更等を行っている社員が、自己又は他人の利益を図りまたは会社に損害を与える目的で顧客データを持ち出した場合には背任罪が成立すると思われます。

 なお、以上の刑事上の責任とは別に、顧客データ持ち出しによる損害について、社員に対し不法行為民法709条)に基づく損害賠償を請求することが可能です。

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