トップページ > なっとく法律相談 > 無傷といわれて購入した中古車に修理の跡。契約を破棄できる?
なっとく法律相談 2002年7月 8日 更新
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事故などで板金、塗装などが一切ない車や程度の良好な中古車を販売するお店を紹介され、そのお店で 700万円の中古車を購入しました。無傷と言われて購入したのですが、納車日の帰り道にドア部分の不自然な修理跡を発見し、よく見て調べたら、前方部分を修理していたことが判明しました。
契約内容と違うし、事故車両であれば販売価格も適正ではないし、代金の支払いがこれから始まってしまいます。
このままでは納得が行かず、契約を破棄したいと思うのですが、可能でしょうか。
(30代前半:女性)
あなたが中古車業者に主張できる内容としては、
が考えられます。
まず、 1. 錯誤無効または詐欺取消の主張ですが、自動車公正競争規約(自動車業における表示に関する公正競争規約)で表示を義務づけられている程度の修復歴(フレームやピラーなどの修理)の場合は、たとえ修復され、性能に異常が認められなくとも、当該自動車に対する安全性への信頼が著しく損なわれることになります。
このような場合、買主は修理歴があれば買わなかったといえますから、その修復歴は買主にとって取引における重要な要素と考えられます。そこで、このような修復歴が表示されていなかったため、それを知らないで契約した買主は民法95条の錯誤無効を、また販売店が修復歴を故意に隠していたときは民法96条の詐欺取消により契約の効力をなくすことができます。
次に、売買の対象が中古自動車の場合、その自動車に不具合(瑕疵)があっても、不具合のない別の自動車を引き渡せ、とはいえません。売買の対象となった中古自動車は、世の中に1台しかないためです。しかし、だからといって、売主はその自動車を引き渡しさえすれば責任を免れるとするのでは、あまりに不公平です。
そこで、民法570条は、売買の目的物に隠れた瑕疵があったときは、買主が販売店に対し損害賠償請求(無償修理)または隠れた瑕疵が修理不可能の場合は売買契約を解除する権利を認めています。これを 2. 売主の瑕疵担保責任といいます。
売主の瑕疵担保責任を追及するためには、
及び、
が必要です。
ここで、「隠れたる瑕疵」とは、買主が通常の注意を用いても発見できないようなものであることを要します。つまり、買主が自分の不注意で見逃した場合には、売主に責任を追及することはできません。
上に挙げた要件をみたす場合には、売主に対し、損害賠償の請求(無償修理)または契約の解除を主張することができますが、契約の解除は修理不能で安全走行に支障をきたす場合に限られることになります。
最後に、 3. 消費者契約法に基づく取消の主張ですが、事業者が消費者契約の締結について勧誘する際、重要事項について事実と異なることを告げ、消費者が告げられた内容が事実と誤認してなした契約の申込み又は承諾は取り消すことができます(同法4条1項1号)。
この「重要事項」とは、「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容」または「物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの対価その他の取引条件」のことですが(同条4項)、中古車の事故歴は前者にあたりますから、事業者が事故歴について事実と異なることを告げ、消費者がこれを事実と誤認して契約を締結した場合、契約を取り消すことができます。
なお、消費者契約法に基づく取消権は、追認をすることができる時(説明が事実と異なると気づいた時)から6か月間行わないとき、または当該消費者契約の締結の時から5年を経過したときに時効消滅しますので、注意が必要です。
集計期間: 2008年11月23日-11月29日