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なっとく法律相談  2002年10月21日 更新

「これから全ての有給休暇を消化して即退職」、認めなければならない?

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Q.

 全ての有給休暇を消化後、即退社したい」との退職願いが出てきました。昨年度の繰越分を合わせるとまだ35日あります。
 この条件は認めざるを得ないのでしょうか?
 労働基準法39条や民法の雇用契約関係、社内規定を読み直してみましたが、はっきりとした結論が出ません。
 有給休暇が労働者の健康や安全を目的に、それまでの勤務実績に基づいて付与されるのものであれば、「1年間就労することを条件にその年度の有休が付与される」と解釈しても妥当なように思うのですが。
 ちなみに業務の引継ぎは既に完了していますので、いつ退職されても問題ありません。職場の雰囲気を壊さないためにも、退職を勧告することはできますか?

(50代:男性)

A.

 有給休暇の取得は労働者の正当な権利であり、有給休暇の取得理由により、取得を制限する事はできません。
 但し、 1. 有給休暇の取得理由が自社の労働争議に利用する場合は、つまり、自社でストライキを行う場合に、本来ストライキなら無給となるところを有給休暇を取得することにより、有給でストライキをするような場合は、有給休暇として取扱いをする必要はありません。
 2. また、有給休暇を取得することにより業務の正常な運営を妨げる場合は、有給休暇の取得そのものは認める必要がありますが、取得する時季を変更することができます。具体的には連続20営業日の有給休暇を取得すると業務の正常な運営を妨げるような場合に、10営業日×2回に分けて有給休暇を取得する場合です。しかし、有給休暇時季変更権は、単に業務多忙という程度では、行使することができません。
 ご質問の件ですと 1. 2. に該当していませんので、有給休暇は有効です。

 また、「1年間就労することを条件にその年度の有休が付与される」との解釈ですが、有給休暇は一定の条件を満たせば自動的に付与される権利ですので、「1年間就労することを条件にその年度の有休が付与される」という解釈はできません。また、この解釈をすると、「1年間就労することを条件に」という部分が、労働基準法5条「強制労働の禁止」に抵触するおそれがありますので、危険です。

 次に、退職勧告の可否ですが、有給休暇を有効と認めた上で、退職勧告することは可能です。ただ、解雇になりますので、解雇の有効性の問題が発生します。解雇には正当事由が必要であり、ご質問の文面からでは判断できませんが、一般的には解雇は無効となります。但し、当該従業員が解雇無効について争わないと解雇は有効に成立します。

 以上により、退職勧告をすることは非常にリスキーです。

 「職場の雰囲気」等を考慮してどうしても有給休暇の取得を防ぎたいときは、就業規則に則り、休職命令を出し、休職手当(平均賃金の100分の60)を支給してください。勿論、この手法を用いるためには、事前に就業規則等で準備しておくことが必要です。

(回答:多賀貴志社会保険労務士事務所 多賀 貴志先生)

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