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なっとく法律相談  2004年1月19日 更新

ついに来た!差し押さえ

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Q.

 ここ数ヶ月、やむなくNTT電話料金の支払いが出来ずにいました。すると××裁判所執行部というところから「本日は帰りますが次回は不在でも差し押さえします」と手紙がありました。NTTにはいついつまでに払うと連絡したのですが、支払いが済まないと取り下げはしてもらえないということです。
 母子家庭でまだ子供も小さいため、部屋のものを差し押さえられてしまうと本当に困るのです。家電や生活用品など、全てを持っていかれてしまうのでしょうか?また、次は突然くるのでしょうか?
 現在病気のため収入はありません。どうしたらいいでしょうか。

(30代:女性)

A.

 差し押さえができるのは、公正証書、仮執行宣言の付いた裁判所の支払い命令、判決などがある場合です。あなたの場合、裁判所の執行部から通知が来ているので、有効性にはおそらく問題がないでしょう。

 しかし、法的に有効な差し押さえでも、差し押さえが禁止されているものがあります(民事執行法131条各号)。債務者の生活に不可欠と考えられるものは差し押さえが禁じられています。
 衣服、寝具、家具、台所用品、たたみ、建具などは、生活に欠くことができないものと認められ、差し押さえることができません。また、2ヵ月分の食料、燃料も差し押さえが禁止されています。標準的な世帯の1ヵ月の生活に必要な最低の金銭(政令で21万円と規定されています)も差し押さえできないことになっています。(参考:金メダルは差し押さえできない
 一方、趣味・娯楽に供される物など生活必需品といえないものは、差し押さえの対象になります。しかし現実には、競売にかけられない(かけても値がつかない)ようなものは持っていかないようです。

 公正証書や支払い命令、判決などにもとづいた差し押さえの時は、裁判所の執行官が執行に当たります。事前に通告なく突然やってくることもあります。その場合でも拒否することはできませんし、たとえ鍵がかかっていても執行官はこれを開錠して執行にかかることが許されています。

 一番望ましいのは未払い分の料金を払って執行の取下げをしてもらうことです。
 それにしても、早く生活を立て直すことが第一です。公的な扶助の申請なども考えられてはいかがでしょうか。

 

当記事について「NTTの法務担当」の方へのお詫びと読者の方々へのご説明

2004年2月26日 掲載

 先日、「NTTの法務担当者」と名乗られる方(メールではご姓名が不明でございましたので、このようにお呼びさせていただきます)より、上記記事について、以下のようなご意見を頂戴いたしました。

……(前略)当社は適正な手続きにより、電話料金をお支払いただけないお客様に対して支払いのお願いを何度かさせていただいた後、それでもご対応いただけないお客様に対しましては、支払督促をさせていただき、異議申立があれば訴訟の場で公明正大な解決を図っております。
 その中で経済的諸事情によりお支払いが困難なお客様に対しましては、分割和解等にも応じさせていただいております。
 本記事における以下の記載はいかがなものでしょうか。
「それができない場合でどうしても差し押さえを免れたいものがあるのなら、…大きな声では言えませんが…あらかじめ友達などに預かってもらっておけば当面は執行を逃れられます。」……(一部略)……

(強制執行妨害)
第九十六条の二 強制執行を免れる目的で、財産を隠匿し、損壊し、若しくは仮装譲渡し、又は仮装の債務を負担した者は、二年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 「大きな声ではいえませんが」という断り書きは意味をなしません。早急に本記事を削除し、訂正文を掲載いただきたく存じます。……(以下略)……

 そして、「刑法96条の2の構成要件に該当するようなことを教唆してよろしいものでしょうか」とも述べておられます。

 確かにご意見のとおりだと思います。本記事記載の一部が、刑法上の「教唆」に該当する虞があるということにまで考え及びませんでしたのは、全く不明のいたすところです。
 また、債権者たるNTT様としては、本記事が一に「債権回収を妨害するもの」と捉えられ、特に、「NTTの法務担当者」様(メールではご姓名が不明でございましたので、重ねてこのようにお呼びさせていただきます)とされましては、ご立腹、ご不快を感じられたとしても、無理からぬことかもしれません。重々お詫び申し上げたいと思います。申し訳ございませんでした。

 ただ、当サイトとしては、読者の方々にこの場をお借りして少しだけご説明させていただきたいと思います。

 私共は、法律とその運用に関する情報を皆さんにお伝えするにあたって、「ただ六法全書を調べれば分かる、正確かもしれないが面白みもない」という切り口ではなく、――できればその道の「表山」のみならず「裏山」までも垣間見ていただきたい――というコンセプトで、記事として取り上げるご相談から記事としての記載形式・内容・文章表現に至るまで、誠意を持って工夫してまいりました。
 正直に申し上げて、この作業には大変な労力を必要といたします。「法律はこうなってます」と記して済ませるなら、簡単です。しかし現実には、「六法にこう書いてあるじゃないか」というレベルで問題が解決できることは少ないのです。
 当サイトが皆さんのご意見メールで、「よくある紋切り型の回答でないところが興味深い」「実際はこんなケースがあるのかと、大変勉強になった」というお褒めの言葉を広く頂戴できているのも、裏を返せば、市民にとって法律を味方につけるのがいかに困難であるかの証左ではないでしょうか。

 また、この世に現実に行われている不法、無法、脱法行為の実体を知っておくことは、決してそれを教唆し奨励するという意味ではなく、読者の皆さんの視野を広げ「カタイと思われている法律という世界にあってさえ、こんな側面があるのだ」「規定があるからと安心ばかりしていると、こんなことにもなるのだ」という認識をもっていただくための有効な足掛かりになる、と考えています。
 今回の記事も、「NHKの受信料、払わなければならない?」に次ぐアクセス数を得ています。その理由は、大企業の法務担当の方などには別段珍しくもない強制執行の現実さえ、一般市民には日頃接することのできない現場からの情報であるからだと思います。
 もちろん、それは素人にとっての話であり、法務を担当しておられるような専門家にあっては「許せない教唆」だ、との認識をもたれる方も多いかもしれません。
 しかし、サイトに掲載した不法行為を読者の皆さんがそのまま実行されるようなことなど、あるはずもないと信じております。そして、「こんなことも行われることがある」という一例として記載させていただいているという趣旨を、聡明な皆さんにはきっと正しくお汲み取りいただいていることと、楽観しております。

 今後は記載内容とその表現にこれまで以上の注意を払うとともに、さらに興味深い内容をお届けできるよう、一層努力してまいります。どうぞ旧倍の御支持をいただきますよう、お願いいたします。
 最後になりましたが、よちよち歩きだった当サイトも多数の方々のご高覧を得られるようになり、掲載記事に対して良くも悪くもご意見をいただくまでに成長することができました。心から感謝申し上げます。
 編集部一同、これからも忌憚無いご意見をお待ちしております。

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