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なっとく法律相談  2004年2月 9日 更新

親から受けた虐待

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Q.

 子供の頃から親に虐待され、それが当たり前で育てられました。
 信じられないのですが、自分でも知らないうちに、虐待された記憶を消して生きてきたようなのです。最近ある人と恋愛関係に入るまでは、虐待を受け、そのため精神的苦痛を被ったことに思い至りませんでした。
 虐待を受けたためか、性格的に歪んでしまったようで、周囲から「変わり者」と言われます。また、本当の事を言うと怒られたので、いつのまにかウソばかりつくようになってしまったように思います。
 トラウマが実の親にあると分かって、大変ショックを受けています。この酷い親に慰謝料請求できるでしょうか。

(30代:女性)

A.

 ご存知のように、親などの保護者による児童虐待が深刻な社会問題となっています。児童虐待は、家庭自体の状況や学校・地域などの周辺環境がケースごとに異なることもあって、大変複雑な様相を呈しています。
 児童虐待は人として最も恥ずべき行為のひとつであり、決して許されるものではありません。しかし、暴行罪、傷害罪として一概に「取り締まる」ことができないのは、通常親には「監護権」(民法820条)、それに基づく懲戒権822条)があるからです。

 監護権とは、子供を育て、その子が成人するまで利益を守る権利・義務をさします。具体的には、

  1. 子供の世話・しつけをし教育を受けさせる権利・義務
  2. 未成者が契約などの法律行為を行う場合、法定代理人となる権利・義務
  3. 子供の財産を管理する権利・義務

です。 1. と 2. は身上監護権、 3. は財産管理権と呼ばれますが、虐待との関係で問題となるのは 1. と懲戒権です。
 監護権、懲戒権を持つ親は、しつけのため相当な範囲で子供に強制力を行使することが認められます。それが逸脱し、もはやしつけといえないような程度に及んだ場合に虐待が問題となるわけですが、その線引きは非常に微妙です。
 特に、「厳しい親」が子供に与えた精神的な諸影響を法的に処理することは、肉体的虐待を伴うというような場合を除いて、大変困難だと考えます。因果関係の立証が難しいというばかりではなく、親と子の精神的なバランス関係などというものは、およそ他人には理解しがたく、ましてや法律で処理するにはなじまない性質を持っているからです。

 「損害賠償」とは、本来、「傷み分け代」なのです。被害者は損害を負いました。それは取り返しのつくものではありません。ですから加害者には、せめて金銭で、損害を埋める手伝いをさせましょうという意味なのですね。
 あなたの主張は法律的に成立する可能性はあります。しかし、あなたの負った傷は、親から慰謝料を取ることによって癒されるのですか。親を訴え、自分が如何に酷い目に遭わされたかを法廷で立証して、何が得られるのでしょうか。新しい幸せをつかんだあなたには、目を向けるべき将来があるのではないですか。

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