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なっとく法律相談  2004年3月 8日 更新

刑事罰が下る前に民事調停を成立させると不利?

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Q.

 6歳になる子供が成人男性から暴力を受けました。刑事告訴すると同時に、民事調停の申立てをしました。
 被害者は我が子以外にも3名いることが判明したため、さらに捜査が必要で、送検までにはまだまだ時間がかかるとのことです。そんな中、調停は慰謝料を含め話がすすみ、終結の気配がしています。
 刑事罰が下る前に調停に応じてしまっても、不利にはならないのでしょうか? また、和解してしまうと、告訴を取り下げなければならないのでしょうか?

(30代:女性)

A.

 我が国の法律は、「刑事責任」と「民事責任」を別のものと考えています。
 「刑事責任」を問う手段としての刑事罰は国家が犯罪者に科すものですが、「民事責任」は、損害を受けた被害者が加害者に対して行為の賠償を求めるものであり、両者は性質が異なります。したがって、刑事責任と民事責任は基本的には無関係に成立します。

 例えば、刑事上は犯罪不成立や起訴猶予処分となっても、民事上被害者が被った損害は甚大で損害賠償が巨額となることがありますし、逆に、民事上の請求額は少なくても(被害があっても被害者が請求しないこともありえます)、犯罪としては悪質で厳しい判決が下されることもあります。特に、国家や社会に対する罪は、直接の被害者となった個人の損失が小さいものであっても、凶悪犯罪として厳しく刑事責任を問われることが珍しくありません。
 典型例が、公共危険罪の代表とされる、放火罪刑法108条以下)です。結果的にはボロボロの古家が一軒燃えただけにとどまっても──したがって犯人の負うべき民事上の責任は軽くても──、刑事上は不特定多数の人の生命・身体および財産に対して大きな危険を生じさせる犯罪として、厳罰が用意されているのです。

 これは、裏を返せば、犯罪が個人の法益(法律上保護された利益)に関するものであれば、その法益は原則として個人が処分できる以上、この類型の犯罪においては刑事責任を科すときにも被害者の意向を考慮して不都合はない、ということになります。
 つまり、調停等において加害者が被害者に対して相当な金銭的賠償を申し出、それに被害者も同意したというような事情が生じれば、それは加害者の反省心の表われであり、被害者の感情も一応は慰撫されたものとして、起訴するか否かの決定・量刑等に反映されても不自然ではありません。

 「刑事罰が下る前に和解してしまっても、不利にはならないのでしょうか?」とのお尋ねですが、「不利」という意味が「犯人が、犯した罪に比して不当に軽く処分されるのではないか」ということでしたら、その心配はないと思います。裁判官も、民事調停が成立しているという一事をもって事足れりとするわけではありません。ましてや、あなたのお子さんの他にも被害者がいるならなおさら、犯罪は犯罪として厳正に裁かれることでしょう。
 また、調停が成立したからといって、必ず告訴を取り下げなければならないということはありません。調停はあくまで民事上のものだからです。しかし、調停や示談の成立にあたって相手方に告訴の取下げを約束した場合は、それを守らなければならないことはいうまでもありません。

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