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なっとく法律相談  2004年5月24日 更新

置きっぱなしの叔母の荷物

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Q.

 叔母(母の妹)の荷物が預かったままになっています。引き取って欲しいと再三頼んでいるのですが、応じる気配がありません。亡くなった祖母に、「あなたが家を建てるまでは置いといていいわよ」と言われた、と主張するのです。
 確かに10年前にはそうでしたが、亡くなる数年前からは荷物を引き取るように言っていました。祖父も母もそう聞いているそうです。
 荷物は大きく、場所を取り、邪魔になっています。こちらから一方的に荷物を送る、あるいは処分したいと考えていますが、法律的に問題無いでしょうか。

(10代:女性)

A.

 親戚の間柄にかかわらず、荷物を預かる約束をすることがありますね。この約束には、法律上、どんな決まりがあるのでしょうか。
 他人の物を預かる約束は、寄託契約として民法に規定されています(657条)。物を預けた人を「寄託者」といい、預かった人のことは「受寄者」といいます。
 法律上の契約なので、当事者双方は契約の内容に基づく権利を有しますが、また義務も履行しなければなりません。受寄者は様々な義務を負いますが、今回のご相談内容に直接関係する義務としては、次のようなものがあります。

 まず、受寄者は預かった物を注意して保管する義務を負います。その注意の程度は、有料で預かる場合と無料で預かる場合で異なります。有料の場合は「善良な管理者としての注意」、無料の場合は「自分の財産と同じ程度の注意」を負うと定められています(400条659条)。
 御祖母様は無料で叔母さんの荷物を預かっておられたようですから、ご自分の物と同じくらいの注意をして保管していれば債務不履行になることはありません。

 また、受寄者は、勝手に預かった物を使用したり、他人に保管させたりしてはなりません(658条1項)。これは無料で預かった場合も同じです。
 そして、寄託契約が終了したときは、預かった物を寄託者に返さなくてはなりません(662条663条)。したがって、寄託契約が終了するとき、叔母さんに荷物を無事返せるようにしておかなくてはならないのです。

 では、御祖母様と叔母さんの間で結ばれた寄託契約は、終了しているのでしょうか。もし終了していないならば、御祖母様の相続人(御祖父様など)が引き続き受寄者としての義務も受け継ぎます。しかし、もう終了しているのならば、受寄者としての義務はなくなり、寄託者に物を返すことができます。
 実は、寄託契約においては、「告知によって契約が終了する」という、寄託に特有の決まりがあるのです。すなわち、物をいつ返還するか決めていない場合には、寄託者も受寄者も、いつでも「返してください」「引き取ってください」と申し出ることができるのです(662条663条1項)。
 叔母さんの方は、契約が終了したとは思っていないようです。しかし、御祖母様は「亡くなる数年前からは荷物を持っていくよう叔母に伝えていた」というのですから、その時点で「告知」があり、寄託契約は終了していると考えられます。したがって、叔母さんに「すぐ荷物を引き取ってください」と請求することができます。具体的な手続は弁護士に相談して下さい。

 催告しても応じてもらえない場合は、荷物を送り返し、送付にかかった費用も請求することができます。あわせて、「荷物が引き取られず場所を取っていた」ことによって被った損害も賠償してもらえます。
 しかし、荷物を処分してしまうことは許されません。日本の法律は、自力救済を禁じているからです。

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