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なっとく法律相談  2004年7月12日 更新

選挙投票を強制するのは違法ではないか?

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Q.

 私の職場では、以前から選挙実施後に以下の事項を調査するよう上司から指示され、報告を行っています。

  • 選挙有権者数
  • 実際に投票に行った人数
  • 棄権した人数
  • 棄権した者の理由(個別に)

 この報告をしなければならないことから、個人の意思とは無関係に投票に行くことが半ば強制されているように感じます。
 いくら公務員とはいえ、この行為は違法なのではないでしょうか。

(30代:男性)

A.

 選挙権は、被選挙権、国民投票権とともに参政権憲法15条)を構成する権利で、国民が主権者として、国の政治に参加することを保障する権利です。
 国民主権原理を採用する憲法において、参政権は、民主主義を実現するために必要不可欠の権利といえます。

 選挙に関する近代法上の基本原則の代表的なものとして、普通選挙平等選挙自由選挙秘密選挙があります。それぞれが、自由で公正な選挙権の行使を担保する重要な原則です。
 そのうち、秘密選挙について、憲法は、「全て選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない」(15条4項前段)と定めています。その趣旨は、社会的に弱い立場にある有権者が、他者からの圧迫、干渉を受けることなく、自由に選挙権を行使できるようにすることにあります。
 公職選挙法はこれを具体化して、無記名投票(46条4項)、投票の秘密保持(52条)、投票の秘密侵害罪(226条2項、227条228条)などを規定しています。

公職選挙法 第52条
何人も、選挙人の投票した被選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称を陳述する義務はない。

 たしかに、あなたの職場で行なわれている調査の内容には、「被選挙人の氏名又は政党その他の政治団体の名称若しくは略称」の項目はありません。
 しかし、秘密選挙の内容には、投票内容のみならず、選挙権を行使したか否かまで含まれるとも解され、職場での強制的な調査は、これを侵害するおそれがあります。

 また、本件調査は、自由選挙原則との関係でも問題となります。
 「自由選挙」に「棄権の自由」が含まれるかについては、考え方が分かれる面もあります。しかし、実際上は「投票するかどうかは個人の自覚に待つべきもので、強制できるものではない」と考えられています。
 とすれば、投票を強制するような職場での調査は、違法の疑いがあると考えられます。

 政治に対する無関心は重大な社会問題であり、投票率の低下を食い止めるため、国や地方自治体においては様々な工夫もなされているようです。しかし、投票を強制できるか否かとは、別の問題です。

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