トップページ > なっとく法律相談 > 社長が逮捕!? 慰謝料をもらって辞めたいのですが
なっとく法律相談 2004年10月18日 更新
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勤めている会社の社長が、贈賄容疑で逮捕されました。そのことにより業務は機能しなくなり、社員のほとんどが自宅待機を余儀なくされています。経営陣は、「年内で会社を閉める」と言っています。
こんな事態になって、社員まで共犯を疑われかねず、これでは再就職も難しいと思います。退職金などは規定通り(それもわずかです。3年間勤めて5万円くらい)しか出ないそうです。
会社から、慰謝料というか、当面の生活の保障としてお金を引き出すことはできるでしょうか?
(30代:男性)
一般に「慰謝料」と呼ばれるお金は、法律上は、被害者の受けた精神的損害に対して、加害者から支払われるものです。
これは、ある人が他人に対して行った不法行為につき、財産的損害だけでなく、精神的な損害に対しても賠償する義務を認めるという、民法上の規定(710条)を根拠としています。
したがって、慰謝料請求が認められるためには、その人(または法人)が不法行為を行うことにより、請求する人に精神的な損害を与えていなければなりません。
今回のケースですと、請求が認められるためには、社長があなたに損害を与えていることが必要です。
では、「社長があなたに損害を与えた」といえるでしょうか。
たしかに、あなたは、今回の社長逮捕という事件によって、自宅待機、さらには失職というリスクにさらされています。しかし、あなたが受けた損害は、社長が「あなたに対して」行った行為によるものといえるでしょうか。
あなたをはじめ、社員の方々が受けつつある損害は、社長の行為が原因で起きたものには違いありません。しかし、事件によって起きた様々な派生的損害の一つにとどまるものです。
ある事実が原因で起きる派生的な損害に対しては、どこかで「線引き」をしないと、加害者の賠償義務の範囲は、因果関係の連鎖によってどこまでも拡大してしまいます。そこで、判例は、「相当因果関係」の認められる損害についてのみ、賠償の責に任ずることとしたのです。
したがって、あなたのような立場の方には酷ですが、社長に損害賠償を請求することはできません。ただし、会社が社長に対してする損害賠償請求は、認められる可能性があります。
最後に、逮捕の段階では、社長が犯罪を行ったかどうかはわかりません。裁判で有罪判決が確定するまでは、無実かもしれないのですから、軽率な言動は慎むべきでしょう。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日