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なっとく法律相談  2004年10月25日 更新

知人のために振り出した手形の決済

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Q.

 私の彼氏の実家の問題です。彼の両親が、昔お世話になった知人に、手形を振り出してお金を貸したそうです。その決済期日がせまっているのに返済がありません。
 相当な高額で、ご両親にはどうしようもなく、彼がかわりに借金をして手形の支払にあてる、というのです。
 どうして、貸した人が、わざわざ借金までして手形を落とさないといけないのですか? 落とせないと信用問題にかかわるのはわかります。だったら、借りた人が責任を持つのが道理なのではないでしょうか?
 結婚を間近に控えているというのに、借金をしなければならないとなっては、結婚も延期せざるをえません。なんとかならないものでしょうか?

(30代:女性)

A.

 ご相談文からは、彼のご両親が手形を振り出し、その支払期日までにはお金の借主である知人が返済する約束になっていた、つまりご両親は知人の返済を予定して、当面は資金不足であるのにもかかわらず手形を振り出した、という事情を読み取ることができます。
 とすれば、残念ですが、彼氏のご両親はやはり手形債務を負うことになります。つまり、資金を用意して、支払期日に手形の呈示人に額面金額を支払わなければなりません。

 「貸した方が、何故わざわざ借金してまで手形を落とさなければならないのか」という疑問はもっともです。もちろん、彼とご両親が手形を落としても、借金した知人がご両親との金銭消費貸借契約に基づく返済義務を免れるわけではありません。
 その人は手形の支払期日までにお金を返す約束をしていたのですから、その日を過ぎれば弁済期に返済しなかったことになり、元金、利息のほかに遅延損害金も払わなければなりません。しかし、それはあくまで当事者間の事情です。
 手形についていえば、手形要件を備えて有効に振り出されている以上、そのような事情とは無関係に、独り歩きを始めるのです。
 振出しにかかる事情とか、返済に関する合意などは、手形の流通には無関係です。また、そうでなくては、危なくて手形を受け取ることなどできません。そのようにして、手形の流通と所持人の権利が保護されているのです。

 また、手形のような有価証券には、「一定の作成要件にしたがって作成された有価証券を所持するものは、原則としてその証券に書かれた権利の権利者であると推定される」という法律上の効果が認められています。
 たとえば、盗まれた手形や小切手でも、第三者に渡ってしまえば振出人は呈示人に支払わなければなりません。それを防ぐためには公示催告によって除権判決を得たり、支払銀行に対して支払委託の取消しをしてもらうなどの手続きを踏まなければなりません。

 酷なようですが、手形の便利さを享受する者は、その責任も負わなければならないのです。手形行為をする以上、当然知っているべき法的知識ですし、彼のご両親もリスクを引き受ける覚悟で手形を振り出されたはずであると思います。

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