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なっとく法律相談  2004年11月 8日 更新

知人から預かった荷物と現金が盗難に!弁償の必要はある?

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Q.

 夫婦で旅行することになりました。妻の友人に出身地がたまたま今回の旅行先である人がいるのですが、その人から「現金10万円とお土産が入っているので、家族に渡してほしい」と、梱包された箱を預かりました。その際、「手間賃」ということで5千円を受け取りました。

 ところが、旅行前日、我が家は空き巣に入られ、預かった荷物も一緒に盗まれてしまいました(警察には被害届けを出してあります)。
 友人に、「10万5千円は弁償する」と話したところ、友人の妹夫婦が出てきて、「本当は現金は60万円入っていた、1万円相当のお土産もあったので、61万円を弁償しろ」と言ってきました。友人も本当はそうだったと言い出しました。
 妻の友人でもあり、梱包もされていたので、中身は確認していません。この場合、61万円を弁償しなければいけないのでしょうか?

(30代:男性)

A.

 あなたは、請求された61万円を弁償する必要はありません。それどころか、10万円とお土産についても、払う必要はありません。何故でしょうか。

 奥さんの友人(Aさんとします)とあなたがた夫婦が結んだ契約は、「荷物を預かって届ける」という事実行為を内容とする契約で、準委任契約民法656条643条)といいます。
 準委任契約には委任契約の規定が準用されますが、それによると、あなたがAさんから受け取った5,000円は単に「手間賃」という性質のものではなく、準委任契約の報酬である、ということになります。

 さて、この契約は、空き巣が荷物を持ち去ったことによって、しようと思っても「することができなく」なりました。法律上は、「履行不能になった」といいます。
 あなたに落ち度があって履行不能になったのなら、それについて損害を賠償しなければなりません。しかし、履行不能になったことにつきあなたには何の責任もない場合にまで、損害を賠償しなくてはならないのは不合理です。
 そこで、民法は、このような場合を想定して、危険負担についての規定をおいています(民法534条536条)。「危険負担」とは、契約成立後、一方の債務が債務者(あなたの立場にある人)に責任がないのに履行できなくなった場合に、その責任を誰がとるか?という問題です。これは、債権の目的物が特定物か否か、当事者に履行不能につき責任があるかによって変わってきます。

 まず、債権の目的物ですが、中身が確認できない「梱包された箱」を渡されていることから、「お金」と「お土産」を届ける契約というよりはむしろ、10万円プラスお土産代の価値がある「梱包された箱」を届けるという契約をしていると考えられ、特定物であるといえます。
 次に、空き巣が入って荷物を盗まれたことにつき、あなたに落ち度があるといえるでしょうか。具体的な事情にもよりますが、普通は落ち度があったとはいえないでしょう。
 さらに、荷物の紛失について、Aさんに責任がないこともいうまでもありません。
 このような場合には民法536条1項という条文が適用され、あなたは報酬を受け取ることはできない代わり、お金とお土産代についても全く責任を取らなくていい、という結論となるのです。つまり、あなたは5,000円をAさんに返さなければなりませんが、それ以外には1円も弁償しなくていいのです。

 しかし、これは純粋に法律的な解釈をした場合に得られる結論です。あなたの方から、始めの約束だった10万円、あるいはその半分でも弁償してあげようというのなら、それを禁止したりするものではありません。

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