トップページ > なっとく法律相談 > 虚偽の説明をした保険代理店に損害賠償請求できるか
なっとく法律相談 2004年12月21日 更新
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18才の娘が自動車を買い、自動車保険に入りました。名義は主人です。
保険代理店が「運転者は‘30歳以上限定’だが、同じ家族だったら事故を起こしても保険金が下りる。その時、加入者は2割負担すればいいだけ」とある商品を勧めるので、そんなに有利ならと、契約しました。
先日、娘が事故を起こし、保険会社に連絡しました。
ところが、保険会社は「示談の交渉は出来ない」と不親切なうえ、保険金もわずかしか下りないようなのです。娘のために保険に入ったのに、これでは保険料をドブに捨てていたのと同じです。
保険会社が契約に従った保険金しか出さないのは仕方ないのかもしれません。しかし、娘が乗ることを知っていながら、18才では保険金が下りない商品を契約させた代理店に責任はないのでしょうか。本社にも問い合わせましたが、「2割なんて誰から言われたのか」とけんもほろろの対応でした。
虚偽の説明をした代理店に、損害賠償を請求することはできないでしょうか?
(40代:女性)
保険会社は、保険商品の販売促進、顧客サポートの便宜などのために、代理店と代理店契約を結んでいます。代理店は保険会社に代わって、営業活動、集金などを行いますが、客と保険契約を結ぶわけではありません。
保険契約は、あくまで保険会社と客との間に結ばれるものであり、その契約の履行は約款、商品説明書などの内容に従ってなされます。18才未満の者が、保険商品が‘30才以上限定’のものであるのに保険金を受け取れるということは、通常ありえません。
代理店が客に保険商品を勧め、契約にあたって書類を作成するなどしても、契約当事者ではない(客と契約関係にない)以上、代理店に契約上の責任(民法415条)を追及することはできません。
また、代理店を保険会社の履行補助者や履行代行者とみて、保険会社に責任を追及するのも、残念ながら困難でしょう。
しかし、不法行為責任を問う方法は残されています。
代理店、あるいは代理店の担当者は、客の保険加入により保険会社からマージンを得ます。そのために虚偽の説明をして保険商品に加入させ、その結果客が損害を被った場合、代理店、担当者、もしくは両者に対し、民法709条に基づいて損害賠償を請求することが可能です。
また、代理店の担当者に不法行為が成立する場合、代理店にも使用者責任(民法715条)を問うこともできます。
このとき、問題は、代理店が虚偽の説明をしたことを立証できるかどうかです。
代理店が虚偽の説明をしたことの立証責任は被害者たる客にあるので、虚偽の説明を受けた事実を何らかの方法で証明しなければなりません。
虚偽の説明を受けた事実を立証するのは(特に、車の名義がご主人になっているという事情の下では)難しいと思いますが、もし代理店に虚偽の説明をした事実を認めさせることができれば、損害賠償させることが可能です。
視点を変えて、消費者契約法により、「媒介の委託を受けた第三者および代理人」(5条1項)が消費者契約の締結にあたって「重要事項について事実と異なることを告げ」、それによって消費者が「告げられた内容が事実であると誤認」(1号)し、契約の申し込みまたは承諾の意思表示をした場合にあたるとして、契約自体を取り消す方法があります。
取り消した行為は遡及的に無効になります(つまり、はじめから無かったことになるのです。民法121条)から、今まで払った保険料は、不当利得として取り戻すことができます。しかし、事故があったとき、保険に入っていなかったことにもなるので、今回の事故は自費で賠償しなくてはなりません。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日