トップページ > なっとく法律相談 > 兄の暴力行為を訴えることはできるのか?
なっとく法律相談 2005年2月14日 更新
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私には2歳離れた法学部に在籍する学生の兄がいます。小さい頃からよく些細なことで喧嘩をしているのですが、私が口で言うのに対し、兄は暴力を振るってきます。
私が「自分の価値観でものを決め付けないでほしい」などと言ったことに対し、精神的苦痛を与えられたから殴り返しても正当防衛だと言っています。
病院で診察を受けたこともあります。診断は打撲症とのことだったのですが、これでは傷害罪などで訴えることはできないのでしょか?今回殴られた部位も診察を受けた方が証拠になるのでしょうか?
ただの兄弟喧嘩と言われればそれまでなのですが、もう限界です。どうかよろしくお願いします。
(20代:女性)
「法は家庭に入らず」とは、よく口にされる法諺です。家庭内で起こったトラブルは、法律を適用して決着をつけることを避け、家庭内で解決しようとする考え方です。この考え方に基づき、家族内で起きた犯罪等については特殊な規定を定めている法条もあります。
しかし、家庭内の問題であっても法律による解決が必要となる場合はあります。
ことに最近は、「単なる夫婦喧嘩、兄弟喧嘩」ですまされない暴力事件、傷害事件も多発しています。また、はじめは小さなトラブルと思われても、突然大きな事件に発展する場合があることも、マスコミで報道されているとおりです。
法律をご存知のはずのお兄さんが、正当防衛などという法律用語を振り回して自分の暴力行為を正当化するとは、まったく許されないことです。
正当防衛(刑法36条1項)とは、「急迫不正の侵害に対し、自己または他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為」は罰しない、という規定です。しかし、「罰しない」という言い方にも現れているとおり、可罰的な行為を定型化したものであるところの構成要件に該当する行為であることには違いないのです。緊急の事態において、自分や第三者を守るためにしたやむを得ない行為であり、また不法に屈する理由はないことなどを理由として認められるに過ぎません。
たとえば、暴漢に襲われ、やむなく相手を殴ったとします。この場合、通常は正当防衛が成立すると思われますが、それには厳格な要件を満たす必要があります。なぜなら、殴るという行為が、正当防衛として結果的には違法性が阻却され法律上許されたとしても、暴行罪の構成要件に該当することには違いないからです。現に、防衛のし過ぎは、過剰防衛(同2項)として、減軽、免除は任意的なものにとどめる規定となっています。
口で負けるから、言い返せないからと暴力に訴える行為が、正当防衛として許されることはありません。暴行、傷害は身体に対する重大な犯罪であり、家族間なら罰せられないという特例もありません。刑事上は暴行罪、傷害罪が成立しますし、民事上も損害賠償責任(民法709条)を追及することができます。
暴力を振るわれたら、直ぐに医師の診察を受け、暴力を受けたことを説明して診断書をもらってください。けがをした部位を写真に撮っておくことも証拠として有用です。
家族での話し合いが難しいのなら、警察に届けを出すと同時に、弁護士に依頼して法的に解決することを真剣に考えてください。家族だから、親戚だからとかばいあった挙句、悲惨な結末に至るような事態だけは防ぎたいものです。
集計期間: 2008年6月22日-6月28日
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