トップページ > なっとく法律相談 > 中絶費用を請求された!妊娠の事実を確かめるには?
なっとく法律相談 2005年3月14日 更新
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交際していた女性と別れた3日後、妊娠中絶にかかる費用を請求されました。病院での付き添いを申し出ましたが、応じてくれませんでした。同意書には友達の名前を署名して手術したそうですが、確かなことはわかりません。
同意書も紙面のほとんどが黒で塗りつぶされていました。中絶費用の領収書なども全くありません。
こんな状況でも、中絶費用を払わなければならないのでしょうか?
また、どうしたら妊娠の事実、中絶の事実をはっきりさせることができるでしょうか?
(20代:男性)
結論から申し上げれば、あなたがしなければならないことは何もありません。何もしなくて良い、というのが回答です。「妊娠の事実、中絶の事実」がないことを証明する必要もないし、もちろん中絶費用を支払う義務もありません。
なぜなら、相手の女性は、不法行為(民法709条)に基づく損害賠償を請求していると考えられますが、権利侵害があったこと、損害が発生したこと、不法行為をした者に故意、過失があることなど、不法行為に基づく損害賠償を請求するための要件は、被害者が立証しなければならないからです。
したがって、妊娠し、中絶し、手術費用を負担した、という一連の事実は、すべて相手が立証しなければなりません。また、妊娠の相手があなたであることも自明ではないのですから、他ならぬあなたと性的交渉を持ったという事実も、彼女が立証しなければなりません。それらすべての立証に成功して初めて、彼女は法律を根拠に請求することが可能になるのです。
民法は、損害賠償が請求できる場面として、2つを想定しています。すなわち、契約関係にある当事者間でトラブルが起きた場合と、契約関係にない当事者間でトラブルが起きた場合です。
契約関係にある当事者間では、「契約」が存在するために、お互いの権利義務は明らかです。何をなすべきであり、なさなければ債務不履行となって損害賠償責任を負うかは、締結した契約に定められているはずだからです。したがって、契約関係にある相手に損害賠償を請求するのは、相対的に容易といえます。
しかし、契約関係にない当事者の間においては、契約によって義務を負わされていない相手に(いわば、赤の他人に)損害賠償を請求するわけですから、請求する側がそれなりの負担を負うのはやむを得ないのです。
「彼女に思わぬ手術をさせてしまったのかもしれない」との思いから、自分で真実をはっきりさせようとするのも、分からないではありません。しかし、現時点においては、法律上は何の意味もないことですし、もし言質を取られたりすれば、してもいない不法行為について責任を負う結果ともなりかねないことを、忘れないでください。
集計期間: 2008年10月5日-10月11日