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なっとく法律相談  2005年3月28日 更新

公序良俗に反する契約は有効か

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Q.

 大学の同じ研究室の友人に、「卒業論文を代わりに書いてくれたら10万やる」と持ちかけられ、引き受けました。彼は私の書いた卒論を提出し、無事、単位を取得することができました。
 そこで、約束の10万円払ってもらおうと催促の電話をしたのですが繋がらず、メールを送っても返信がありません。アパートも引き払って、どこにいるのかも分かりません。
 代書の報酬を支払わせたいのですが、どのような方法を取ればいいでしょうか?

(20代:男性)

A.

 あなたは友人と、「卒業論文を10万円で代書する」という契約を交わしました。
 しかし、卒業論文を代書し、報酬として金銭を受け取るという契約は、いうまでもなく、公序良俗に反するものです(民法90条)。公序良俗に反する契約は無効です。
 あなたは論文を代書して友人に渡しましたが、代書行為をした「理由」となるはずの契約は無効。つまり、あなたの行為には法律的な意味がありません。
 したがって、その行為の代価として、代金を支払わせることもできません。あなたが「是非とも支払わせたい」と望んでも、少なくとも法律が、かかる不法な契約の実現に力を貸してくれることはないのです。

 また、民法708条には、「不法の原因のため給付をした者は、その給付した物の返還を請求できない」という意味の規定があります。
 たとえば、Aという人が、覚せい剤を購入する代金として、密売人に金銭を支払ったとします。ところが密売人は、約束の覚せい剤を渡そうとしません。Aは代金を取り返せるでしょうか。
 覚せい剤の売買契約は、刑法上の重大犯罪であるのみならず、民法上も、公序良俗違反の契約として効力を持ちません。とすれば、契約は「初めから無い」のですから、渡した代金には法律上の意味(根拠)が無く、代金返還請求ができそうにも思えます。

 しかし、そのような場合にも、同条によって返還請求は認められません。
 その理由は、覚せい剤の代金を法律的手段によって取り返せるとするならば、不法な契約を結んだ者の権利の実現に、本来不法行為を排すべき法律自身が手を貸した結果となってしまうからです。
 もちろん、「不法の原因のため」とはどういう場合をいうのか、断ったのに無理に誘われて契約してしまった場合も返してもらえないのか、など、不法性の程度や状況によって結論が異なることはあります。しかし、一般的には、不法な契約に加担しても得るものはないのだと思ってください。

 あなたが友人を探し出し、支払いを請求することは、事実的な行為としてはもちろん可能です。しかし、法律上の根拠で、法律的手段・手続によって請求することは認められないのです。

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