トップページ > なっとく法律相談 > 他人名義の定期券を使うと犯罪?
なっとく法律相談 2005年8月 1日 更新
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先日、今勤めている会社が事務所移転ということで交通費の再申請を行おうとしたのですが、会社から、他人名義の定期券を使えといわれました。実質5日ぐらいなのでバレなければいいだろ?と。定期の裏には規約みたいのが書いてあって、そこには他人名義の人の定期券を使用すると追加金を頂きます、みたいな事が記載されていました。
会社に「犯罪行為であり、この件は納得できない」という内容のメールをしたのですが、それを見た上司が犯罪ではないのでこのまま使っても問題ないだろ?事を大きくしすぎなんだ!と怒られました。
一応、会社には間違ってるという意思は伝えましたので会社の返事を待とうと思っていますが、定期券の不正利用は、鉄道会社と個人の追加金が発生するだけで何の罪にはならないのでしょうか?
(20代後半:男性)
他人名義の定期券を使って乗車することは立派な犯罪です。その前に、相談者の方も触れている「追加金」について説明しておきます。
鉄道営業法18条2項は、「有効ノ乗車券ヲ所持セス又ハ乗車券ノ検査ヲ拒ミ又ハ取集ノ際之ヲ渡ササル者ハ鉄道運輸規程ノ定ムル所ニ依リ割増賃金ヲ支払フヘシ」と規定しています。これを受けて、鉄道運輸規程19条は、「有効ノ乗車券ヲ所持セズシテ乗車シ又ハ乗車券ノ検査ヲ拒ミ若ハ取集ノ際之ヲ渡サザル者ニ対シ鉄道ハ其ノ旅客ガ乗車シタル区間ニ対スル相当運賃及其ノ二倍以内ノ増運賃ヲ請求スルコトヲ得」と規定しています。
つまり、鉄道事業者は、有効な乗車券を所持していない者に対して、通常運賃に加え、運賃の2倍以内の割増運賃を請求できるわけです。多くの鉄道事業者は、約款や規約等で割増運賃を2倍に設定しているため、不正乗車が発覚した場合には、通常運賃に割増運賃を加えた、通常運賃の3倍額を請求することになっています。
以上は、あくまで利用者と鉄道事業者との間の損害賠償に関する問題であり、いわゆる「犯罪」ではありません。しかし、鉄道営業法は、上記の規定とは別に29条で不正乗車罪を規定しています。なお、同条は不正乗車した者を「五十円以下ノ罰金又ハ科料ニ処ス」と規定していますが、この規定は罰金等臨時措置法により、2万円以下の罰金または科料に読み替えられています(同法2条1項)。
また、他人名義の定期券を利用した乗車を駅員が許可するとは考えられないことから、正しい権限があるように装って改札を通過し、運輸の利益を受けた場合には、詐欺罪(刑法246条)が成立する可能性もあります。
以上のように、他人名義の定期券を使用することは、犯罪になりますし、それをそそのかした上司も教唆犯(刑法61条1項)として処罰される可能性があります。また、会社ぐるみで黙認していたというような場合には、鉄道事業者から会社に対して損害賠償を請求されるおそれもあるでしょう。こうした事実を示して、上司を説得してみてはいかがでしょうか。
集計期間: 2008年8月17日-8月23日