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なっとく法律相談  2006年2月20日 更新

食物アレルギーの児童に対し給食を拒否できるのか?

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Q.

 私の子供は平成18年小学校入学予定ですが、食物アレルギーで、卵、牛乳を摂取すると抗原抗体(アレルギー)反応を起こします(アナフィラキシー性ショック)。小学校で出される給食には卵や牛乳が使用されていることがあるため、そのままでは食べることができません。
 当市は4町が合併しており、給食センターも4つあります。私のA町以外に、B町にも食物アレルギーの児童がいますが、B町では、事故の発生を避けるため給食対応をせず、弁当持参するように言われていると聞いたため、平成18年度の予算が組まれる前から、アレルギーの生徒に特別食を調製してほしいとの要望を市に出して来ました。しかし、未だに解決していません。
 予算が厳しいのは分かりますが、義務教育である以上、児童生徒には給食を供給する義務があるのではないでしょうか?
 学校給食法第4条 に、「義務教育諸学校の設置者は、当該義務教育諸学校において学校給食が実施されるように努めなければならない。」とあります。「努めなければならない」とは努力義務であるとして、拒否されてしまうのでしょうか?

(年齢不詳:男性)

A.

 学校給食におけるアレルギー対応は、各地方自治体に任されているのが現状です。除去食、代替食などを作らずに弁当を持参させる、卵のみ除去に対応する、特定アレルゲンに対応するなど様々です。
 アレルギーの児童・生徒が増える昨今、アナフィラキシーに対する危機管理の必要性が問われはじめました。アナフィラキシーとはアレルギー反応のひとつで、じんましん、瞼や唇の腫れ、呼吸困難等の症状を伴い、重篤な場合には死亡することもあります。
 2002年4月から食品衛生法により食品アレルギーの表示が義務化されました。表示が義務化されたのは、卵、乳、小麦、そば、落花生の5品目です。これらは「特定原材料」と呼ばれ、原材料だけでなく、添加物や製造工程などにおいて一部でも使用されていれば、表示が義務づけられることになりました。これにより、学校給食においても、特定5品目使用の有無を給食献立表に記載する動きがでています。

 では、学校給食法4条に基づいて、地方自治体や学校にアレルギー対応食の供給を義務づけることができるのでしょうか。
 学校給食法は、昭和29年に制定された学校給食に関する基本法です。義務教育諸学校における学校給食が児童、生徒の心身の健全な発達に資し、国民の食生活の改善に寄与することから、学校給食の普及、充実を図ることを目的とし(1条)、義務教育諸学校における教育の目的を実現するために、同2条各号所定の目標の達成に努めるべきこと(2条)、学校設置者は、 学校給食が実施されるように努めるべきこと(4条)、国及び地方公共団体は、学校給食の普及、健全な発達に努めるべきこと(5条)を定めています。

 学校給食の重要性については、例えば平成9年の文部省保険体育審議答申においても、学校給食が多面的かつ重要な機能を有することが明らかにされていますし、アレルギー対応に関する事件ではなく、また下級審判決ではありますが、裁判所も、

「・・・学校給食が学校教育の一環として行われ、児童にこれを食べない自由は事実上なく、献立についても選択の余地がない。調理も学校側に全面的にゆだねているという学校給食の特徴や、学校給食が直接体内に取り入れるものであり、何らかの瑕疵があれば直ちに生命・身体への影響を与える可能性がある。学校給食を食べる児童が、抵抗力の弱い若年者であることなどからすれば、学校給食について、児童が何らかの危険の発生を甘受すべきとする余地はなく、学校給食には、極めて高度な安全性が求められている。・・・」
(1999年9月10日大阪地裁堺支部判決の一部)

と述べ、学校給食の学校教育の一環としての重要性を認めています。

 アレルギーに対応しないことが生命・身体の健康に重大な危険を生じる虞があることからすれば、学校は給食からアレルギーを完全に除去する法的義務を負うと考える余地はあると思います。
 しかし、学校給食法は、制定当時の時代を反映し、義務教育における学校給食制度の確立と普及を目的として制定されたと考えられることからすれば、第4条は、地方自治体や個々の学校に対し、全ての児童生徒のアレルギーに対し、完全除去食を供給することを義務づけたものとまでは言えないというのが未だ一般的な考え方であると思われます。

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