トップページ > なっとく法律相談 > 現行犯逮捕とは──取り押さえた万引き犯に不当逮捕と言われた!
なっとく法律相談 2006年2月27日 更新
トラックバック(0件) ブックマーク:
(0)
()
(0)
私はゲームショップの店長をしています。先日、店内で、男女二人組の万引き犯を捕まえました。そして犯行に計画性がありそうだったこと、万引きした商品の量の多さから悪質と判断し、警察に引き渡しました。
すると後日、男から「不当逮捕と警察での偽証で民事告訴する」といわれました。男が言うには万引き商品を持っていなかった自分を警察が来るまで店内に拘束したのは不当逮捕にあたり、また警察でも偽証し、それを調書に作成させたと言うのです。
「外に出せ」という男を店内に押しとどめたのは事実ですが、その際、暴力も暴力的発言もしておらずただ逃げようとする男の突進を受け止めただけです。そして、連れと思われる女をかばう言動をしたことから、共犯と考え、警察に引き渡したのです。
そもそも不当逮捕とはどういう行為をさすのでしょうか。男を論破するためのアドバイスをよろしくお願いします。
(30代:男性)
あなたが万引き犯を店内に拘束した行為は、刑事訴訟法上「現行犯逮捕」(212条)といわれるものです。現行犯人は犯罪を行ったことが明らかであるので、私人が逮捕状なく逮捕することが認められています(213条)。
現行犯人とは、「現に罪を行い、または現に罪を行い終わった者」を指します。また、現行犯といえなくても、(1) 犯罪が行われてすぐ、また場所もあまり離れていないところで発見された者が、(2) (a) 犯人として追いかけられているとき、(b) 盗んだ物や犯罪に利用したと思われる凶器等を所持しているとき、(c) 身体や衣服に明らかに犯罪を行ったと思われる跡があるとき、(d) 呼び止められて逃げようとするとき、のいずれかにあたる場合には、「準現行犯」(刑事訴訟法213条2項)として逮捕できます。
しかし、現行犯として逮捕するには、以下の要件を満たさなければなりません。これらの要件を満たさないとき、「不当逮捕」となるのです。
まず、(1) 犯行と逮捕行為との時間的・場所的接着性があること。時間がたっていても、犯行を目撃してから追跡が継続していれば、数時間後でも逮捕できるとされています。
(2) 犯罪と、犯人であることが明白であること。逮捕の時点で、逮捕された者が犯人であることが、現場の状況等から逮捕者する者にとって明らかでなくてはなりません。
(3) 逮捕の必要があること。逮捕は、相手の身柄を拘束するという人権侵害の危険の高い行為ですから、逃げる様子もなく住所氏名等を明らかにしている者をことさらに逮捕することは違法となります。
これを今回の事件について検討すると、(1) 場所的・時間的接着性があり、(2) 犯行を現認した、あるいは現場等の状況から犯人であると確信したあなた自身が逮捕しており、(3) 犯人は「外に出せ」と言って逃げようとするなど、逮捕して身柄を拘束する必要性があったといえます。また、あなたは犯人を逮捕した後、すぐに警察に引き渡していますが、これも適切な処置です(刑事訴訟法214条)。
したがって、この逮捕は適法であり、男の主張は理由がありません。また、男は「民事告訴する」とのことですが、民事訴訟法上、告訴という手続は存在しません。悔し紛れの放言と思われますから、相手にする必要はありません。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日
![]() | Amazon著作権の法律相談 (青林法律相談) |