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なっとく法律相談  2006年4月10日 更新

分割で支払う約束の退職金、父が亡くなった後も請求できる?

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Q.

 昨年5月、父は肺がんのため、19歳のときから50年勤めた会社を退職しました。78歳になる女社長とその息子、父親の3人だけの小さな会社です。

 社長の夫だった先代社長が37年前に亡くなって以来、父はひとりで会社を切り回してきました。そして、退職する際にも、会社の財政状況を知っている父は、退職金2000万円のうち800万円を一時金として先に受け取り、後の1200万は1ヶ月に10万ずつ10年の分割で払うという会社の申し出に同意しました。会社を信用し、契約書、公正証書などは作成していません。
 ところが、今年の1月に父が亡くなると、会社は約束の10万円を支払わなくなりました。「退職金の支払いは生前のみとの約束だ」と言うのです。

 こういう事情の下で、残額の支払い請求は可能でしょうか。

(30代・女性)

A.

 例えば仕送りを送金する契約、扶養料の支払い契約などは、債務者が債権者に継続的に金銭を給付することを内容とする契約です。
 このような契約の一方当事者が有する債権は「一身専属的」であるといわれています。つまり、契約の性質上、契約の一方当事者たる本人が受けとらなければ意味がない、というものです(民法881条参照)。

 このような契約では、債権者の死亡により金銭の給付を受ける人が存在しなくなるので、契約は終了し、債権も消滅することになります。すなわち、本人の相続人が債権を行使し、引き続いて金銭を払うよう債務者に請求することはできません(民法896条ただし書き)。
 
 しかし、本件の退職金支払契約では、同様に継続的に金銭を給付する方法を取ってはいますが、一身専属的権利とは違います。債権は2000万円全額について成立しており、当事者の合意によって、たまたまそれが分割払いにされているに過ぎません。
 したがって、相続開始により相続人は被相続人の有した一切の権利義務を承継し(民法896条)、あなたは自己の権利としてこの退職金支払請求権を行使することができます。

 そして、口約束でも契約は有効に成立するので、債務者たる会社に、今までどおりの条件で支払いを継続するよう請求することができます

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