トップページ > なっとく法律相談 > 息子との賃貸契約と遺産相続について
なっとく法律相談 2006年5月 8日 更新
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私(80歳)の息子(50歳)は、サラリーマンがいやになり、亡き夫の経営する町工場で働いていました。夫が死亡してからは、その仕事を引き継いでいます。
生前から親子仲が悪く、死亡した夫の遺産相続時にも「親の面倒は見ないが、仕事を継いでやるのだから財産は全部自分がもらうのが当然だ」と主張しました。葬儀、法事等にも僧侶より遅れて来ます。親族にも恥ずかしい状態です。
相続は法定相続で合意し、3回忌を前に、工場及びその敷地は私名義の登記をしましたが、息子は賃貸契約も無いまま、敷地を使用しています(工場設備・資材は息子名義です)。
息子は「親子で家賃を払うと贈与になるから払えない」と主張し、賃借料は払わないかわり、固定資産税分を一方的に振り込んできます。
質問1:話をしようとすると、息子は大声を張り上げ、自分勝手な主張をします。時には身の危険も感じるくらいです。最近は話もしたくありません。このような息子から家賃を支払わせるにはどのように対処すれば良いのでしょうか?
質問2:私にはもう1人息子(55歳)がおり、葬儀・法要・親戚付き合いをやってくれています。私の死後、次男が権利を主張して遺産相続でもめないようにするには、どうしたらいいのでしょうか?
(80代・女性)
まず、親子間で賃貸借契約を結ぶことには何の支障もありません。そこで、速やかに賃貸借契約を書面で作成しておくことをお勧めします。
今のまま、息子さんに土地を使用させ続けると、今後本格的な争いになった場合に、「使用貸借契約(民法593条)の合意があったのだから、今後も無料で使用させろ」あるいは「父が亡くなったとき贈与を受けたので、土地は自分のものである」と主張してくる可能性があります。
その際、固定資産税を払っていたことは、彼にとって有利な証拠となります(他人の土地にかかる税金を納めようとすることは、通常考えられないからです)。賃貸借契約を結び、賃料を取りたいならば、固定資産税については受け取りを拒否する(あるいは同額を振り込み返す)べきです。
当該行為の根拠となる権利、たとえば賃貸借権などのことを「権原」といいますが、権原なく他人(親子でも、法律上は他人です)の土地の上に居すわることは違法です。本来なら、工場設備を息子さん名義とするときに、正式な契約を交わしておくべきだったのですが、親子間ではそこまでしない(できない)のが通常です。今からでも遅くないので、争いが目に見える形になる前に、仕切り直しをすべきです。
その際は、息子さんと一対一で話さないことです。契約の内容についても「言った、言わない」の水掛け論になりがちですし、身の危険を感じるような態度を取る相手ならば、なおさらのことです。もっとも、息子さんが虐待行為等あなたを傷つける行為に及んだときは、相続する権利を奪うことができます(推定相続人の廃除、892条)。
一番良いのは、息子さんが一目置くような人や、弁護士、司法書士等の有資格者に同席してもらった上で、話し合いを持つことです。
死者の意思である遺言(民法960条)がない場合、相続財産は相続人の共有(898条)になり、相続人間でその分割が決定されるのが通常です(但し899条)。この話し合いが穏便に行けば問題はありません。しかし、相談を伺った限りでは、次男が横車を押し、長男が権利主張できずに終わることが考えられます。
そこで、遺産分割の方法につき遺言で明らかにしておくとともに(908条)、遺言執行者(1006条)を選任して、分割が遺言どおりなされるようにする方法をお勧めします。
ただし、遺言は厳格な要式行為であり、規定に外れたものには効力が認められないため、有資格者に作成してもらう方が安全でしょう。
集計期間: 2008年11月23日-11月29日