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なっとく法律相談  2006年5月29日 更新

世界に一枚しかない思い出のDVDの損害額は?

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Q.

 私の結婚式の余興を気に入った友人から、「自分もやりたいのでDVDを貸してくれ」と頼まれました。プロに頼んだものはなく、親戚に撮ってもらったものが1枚あるだけなので、正直貸すことに躊躇しましたが再三頼まれたので貸しました。 
 友人は、自分の式で余興を担当する人に又貸しし、その人がなくしてしまったのです。
 世界にひとつしかないDVDで、しかもそれを私の知らない第三者に失くされ、非常に落胆しています。友人と第三者は弁償したいといっていますが、どれくらいの額を請求していいかわかりません。いくらお金を積まれても、あの日あの時の映像が戻ってくるわけではなく、納得できるかどうかもわかりません。

(30代:男性)

A.

 あなたは、友人に対しては債務不履行に基づく損害賠償請求民法415条)、DVDをなくした人に対しては所有権侵害という不法行為に基づく損害賠償請求(709条)をすることができます。

 友人にDVDを貸す行為は、無料で貸すなら使用貸借契約民法593条~600条)、有料の場合は賃貸借契約601条~621条)にあたります。それぞれの契約について、当事者が禁止されていること、してもよいことが規定されています。これらの債務が履行されず、損害が発生した場合には、債権者は損害賠償を請求できることになります。

 使用貸借契約、賃貸借契約にかかわらず、借りたものは返さなければなりません。友人は目的物返還債務の不履行(履行不能)により損害賠償を請求されることになります。
 一方、DVDを失くした人は、あなたと契約関係にあるわけではありません。しかし、あなたのDVDに対する所有権を侵害したのですから、その行為は不法行為として損害賠償請求の理由となります。

 ただ、その場合の損害額はいくらになるのでしょうか。DVD本体の価格は、何百円かにすぎないでしょう。DVDに記録されていた情報の価値がいくらと評価されるかが問題となります。
 残念ながら、その情報があなたにとっていかに大切なものであっても、客観的価値は高くないと考えられます。もちろん、相手方との合意で高額の賠償金を払わせられるなら別ですが、訴訟で損害額が争われるとすれば、到底納得できない金額になると思われます。慰謝料710条)として請求するとしても、同様の問題が起こります。

 賠償額の特定に際しては、被害者にとっては理不尽とも思われる結果になることが稀ではありません。例えば、愛犬を死亡させられたとして、不法行為による損害賠償請求をしたとします。その犬が、当事者にとって文字通りかけがえのないものであり、家族の一員として可愛がっていたとしても、その雑種犬の客観的価値はゼロに等しいものと評価されるでしょう。
 しかし、これは、民法が損害賠償を「金銭をもってその額を定める」(金銭賠償の原則417条)ことを原則としている以上、甘受しなければならない現実なのです。

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