トップページ > なっとく法律相談 > 割賦販売した車、放置したら撤去義務は誰にある?
なっとく法律相談 2006年6月12日 更新
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友人が車のディーラーをしております。割賦販売もしているため、売買契約は成立しているものの、名義は彼のままの車が多数あります。
先日、そのような車の中の1台について、道路管理者より「放置自動車撤去の勧告書」がきました。勧告書によると、所有者であるディーラーが「撤去をしなさい」等と書いてあります。
友人は「割賦販売契約で代金債権を担保するため所有権を留保しているだけで、実質の所有者は使用者である」と回答したそうですが、本人は借金を抱えて逃亡しており、連絡がつかない状況です。
この場合、実際にディーラーが所有者として、放置車両を撤去する費用を負担する義務があるのでしょうか?
(30代:男性)
ご友人が車を販売した相手と締結した契約は、「所有権留保」という形式の契約です。これは、割賦払い(分割払い)契約等において商品の代金債権を担保するため、代金完済まで商品の主有権を売主にとどめる(留保する)という内容の契約です。
売買契約では、所有権は売買契約の成立と同時に買主に移転するといわれています(民法176条。ただし、通常の売買では、買主が代金を支払ったときに移転させることが多い)。
割賦払いにおいてこれを認めると、代金を完済しない段階で所有権が移転するため、買主は商品を自分のものとして処分(転売など)することができます。
一方、売主の手元には代金請求権という債権しか残らないので、買主本人には支払い請求ができても、転売された相手方に直接代金の支払いを求めることはできません(債権の相対性。債権は、原則として契約の当事者間でしか効力を持ちません)。これでは、売主は大変なリスクを負うことになります。
そこで、代金の完済までは所有権を売主にとどめ、買主の勝手を防止して代金債権の担保にするという契約がなされているのです。この形式を取れば、代金支払が滞った場合にも売主は商品を取り戻すことが可能です。自動車の場合は、名義を売主のままにしておき、買主は代金を支払いつつ商品を使用することになります。
ところで、今年の6月1日までは、公道上に車両等を駐車・放置した場合、責任を問われるのは運転者(駐車・放置した人)だけでした。そのため、悪質な運転者は車両を放置したまま知らん振りを決め込み、反則金も罰金も支払わないという行為がまかり通っていたのです。
しかし、今回の改正道路交通法では、運転者が反則金を支払わなかった場合、車の所有者に責任追及がなされることになりました。車検が受けられなかったり、放置した車両の使用が禁じられる不利益処分を受けるおそれがあります。
今回の改正で、一番損をするのはレンタカー会社だろうといわれています。借主が駐車違反したまま乗り捨てた場合に、所有権留保した車を放置された場合と同様、所有者として責任を負わなければならないからです。何万台という車両を保有するレンタカー業者には大変なリスクです。 しかし、車両の所有者である以上、車両の撤去等の費用は負担しなければなりません。「実質的所有者は私ではない」と主張しても理由になりません。特に、多くの事件を処理する行政処分においては、所有者を早期に確定して処分を行うことが第一に要請されるからです。 今後の対応としては、買主が駐車違反し反則金を支払わなかった場合の処理につき、新しく契約条項を設け、代金完済・名義移転まで撤去費用等相当額を預かる、損害賠償の予定をする、等が考えられます。早く準備する必要があるでしょう。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日