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なっとく法律相談  2006年7月 4日 更新

患者さんの闘病記に取材協力。守秘義務はどうなる?

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Q.

 医療関係の仕事についている者です。最近担当した有名人の患者さんが、闘病記を掲載するため取材を受けることになり、患者さん御本人から「あなたも取材に協力してほしい」と言われました。
 本人が了承しているのだから、職業上の守秘義務は守らなくてよいのでしょうか。どこまで話していいのか、悩んでいます。注意すべきことがありましたら教えてください。

(40代:女性)

A.

 医師、弁護士など、人の重要な情報を扱う一定の職業に従事する者は、刑法や特別法等で秘密の保持が義務づけられています。
 たとえば、刑法では、医師、薬剤師、医薬品販売業者、助産婦、弁護士、弁護人、公証人またはこれらの職にあった者は、正当な理由がないのにその業務上取り扱ったことについて知りえた人の秘密を他に漏洩することを禁じられています(秘密漏示罪134条)。

 看護婦、検査技師などは刑法上除外されているものの、個人情報の保護が強く求められている昨今では、医師等に準じた守秘義務が事実上求められていると考えられます。
 
 さて、守秘義務は、本来本人のプライバシーを保護する趣旨に出たものですから、本人がこれを放棄した場合には秘密を開示することも原則として許される、と考えるべきでしょう。
 しかし、不特定多数の人の目に触れる雑誌では、たとえ本人の同意があっても、関係者から名誉毀損やプライバシーの侵害を理由とする損害賠償の問題が起きることが考えられます。

 また、職業上他人の秘密を知りえた者が情報を開示するのと、本人が自ら開示するのとでは、周囲の評価も事実上異なります。印刷物になると、話し言葉とは全く異なった印象になることもあります。
 そこで、後々のトラブルを避けるためには、

  1. 何についてどこまでなら取材に応じてもよいか、本人に事前に確認を取る
  2. あくまで本人に関することのみを話し、他の患者については一切触れない
  3. 取材が終わったら本人にゲラ等を確認してもらい、問題がある部分は削除させる

 なお、本件とは直接関係がありませんが、違法行為を捜査機関等に通報することは正当な行為であり、本人の承諾がなくても守秘義務に違反する行為とはいえません。

 最高裁は、「医師が、必要な治療又は検査の過程で採取した患者の尿から違法な薬物の成分を検出した場合に,これを捜査機関に通報することは,正当行為として許容されるものであって,医師の守秘義務に違反しないというべきである」との判断を示しています(最決平成17年7月19日)。

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