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なっとく法律相談  2006年7月10日 更新

愛犬の手術費用を半額しか支払わない加害者、全額請求できない?

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Q.

 犬の散歩中、後ろからきた車に犬がひかれました。急いで近くの動物病院で手術を受け、命には別状がなかったものの、車はそのまま逃げてしまいました。
 ナンバープレートの番号を覚えていたため、警察に届け出たところ、すぐに車の持ち主が分かりました。物損事故であるため警察はそれ以上関与しないとのことで、加害者と直接話し合いましたが、全く反省する様子がありません。手術費用も半額しか払わないといいます。
 これでは納得できず、どうしても全額払ってもらわないと気が済みません。相手は、親の車に乗っていたため、保険も入っておらず、任意保険に請求することもできません。
 全額請求はどうしても無理なんでしょうか?

(20代:女性)

A.

 加害者の主張をそのまま受け入れる必要はありません。
 加害者が「半額しか払えない」という理由は何でしょう?・・・相談文からは明らかではありませんが、散歩中、ふらふらした危険な歩き方をしていたなど、被害者側に過失が認められるような事情がない限り、犬の治療費に関しては全額払わせることができると考えます。

 加害者が親の車に乗っていようと、盗難車に乗っていようと、そのような理由で払う、払わないが決まるはずもありません。たしかに、任意保険は利用できないかもしれませんが、それは加害者の個人的な事情であるにすぎません。こちらは治療に要した費用(さらには精神的慰謝料)と請求に要した費用を請求するだけのことです。

 また、誤解されているようですが、自動車保険制度は、被保険者(加入者)が被害者に払うべき費用を保険者に請求するシステムであり、被害者が直接保険者に請求するのではありません。

 保険会社が加害者の代理人として被害者と交渉することはよく知られています。しかし、それは加害者に被害者が支払うべき損害賠償額(すなわち保険金の払い戻し)を低く抑えるため行われることであって、被害者が保険会社に損害賠償請求するという意味からなされるのではありません。
 請求方法としては、事故の日時・場所などの客観的事実と請求額の内訳を挙げて、内容証明郵便で請求します。支払方法と期限も明記し、最後に必ず、「払わない場合は法的手段をとる」と書いておきます。

 借金の回収でもそうですが、こちらが本気だということを示さなければ、相手に払わせることはできません。こちら側の断固とした決意を示すことが大事です。
 
 あわせて、器物損壊罪刑法261条)で被害届を警察に出す方法が考えられます。
 警察は物損事故として片付けたようですが、「相手に故意があったと考えられる。そのまま逃げたのも悪質である」と主張して、被害届を出すのです(過失による器物損壊は現行刑法では罰せられないので、「故意だったに違いない」と主張しなければいけません)。
 犯罪として立件・捜査される可能性は低くても、被害届が出た以上、警察は放置するわけにはいきませんから、加害者には一定の圧力をかけることができます。

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