トップページ > なっとく法律相談 > 一年前に行った内引き(従業員による万引き)行為について
なっとく法律相談 2006年7月24日 更新
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大手量販店でアルバイトをしています。実は、店の在庫管理の杜撰さを利用して、内引き(従業員による万引き)を行っていました。
しかし、後になって良心が痛み、耐え切れなくなったため、直属の上司に打ち明けて「どうしたら良いでしょうか」と相談したところ、「在庫管理が杜撰だから買ったことにしなさい。ばれることはないから。上には黙っていてあげるよ」と言われました。そこで、覚えているもの、思い当たるもの全ての代金を支払いました。
この行為を行っていたのはかれこれ一年前。今は当たり前ですが心を入れ替え、真っ当に業務に従事しています。
しかし、一年前の事実が店長クラスに発覚して、窃盗として警察に突き出され、前科がついてしまうのではないかと思うと、夜も怖くて眠れず、精神科へ通うべきか悩んでいます。
この場合私はどうすればよいのでしょうか・・・法律的にはどう対応されるのでしょうか?
ご回答宜しくお願いします。
(20代:男性)
刑法上、あなたのした行為は窃盗罪(刑法235条)にあたり、その刑は10年以下の懲役です。したがって、行為から10年間(32条4号。公訴時効)は、逮捕され、起訴され、裁判を受け、有罪となり、刑務所に入り・・・という可能性が消えていないことになります。しかし、現実には、アルバイトがした「内引き」程度の軽い犯罪行為が起訴されることは少ないのです。
なぜかといえば、第一に、警察や検察は、他に捜査し起訴すべき犯罪をたくさん抱えているからです。殺人、放火、強盗、強姦など、必ず犯人を探し出して刑罰を受けさせるべき犯罪が、世の中には(残念なことですが)多く存在します。このような言い方をすると語弊があるかもしれませんが、警察や検察も人員に限りがある以上、重大犯罪を「優先」して対応するのは理由のあることです。
次に、窃盗が財産犯であることです。窃盗で起訴される例は、もちろん多数あります。ただ、検察が起訴するか起訴猶予とするかを判断する際には、犯人の性格、年齢および境遇、犯罪の軽重および情状、犯罪後の情況などが考慮される(刑事訴訟法248条)のですが、被害がすでに弁償されているか否かは、「犯罪後の情況」として判断要素となるのです。
人の命を殺めれば、いかに「犯罪後」犯人が後悔しても、もはや取り返しがつきません。しかし、財産犯である窃盗ならば、賠償することができます。もちろんそれで犯罪行為がなかったことになるわけではありませんが、検察や警察に対する印象が良くなることは間違いないと思われます。
このように、起訴の可能性は低いとしても、その前段階として、警察に「自首」して出るべきでしょうか。
これは難しい問題です。法律家の立場としては、「犯罪を犯した以上、もちろん自首しなさい」ということになるのでしょう。
しかし、あなたの場合は、職場の上司がその裁量で、「あなたが商品を買ったことにする」という判断を下してくれています。また、あなたも現在はまじめに勤めています。
ところが、今になってあなたが自首し、それが店長など幹部に知れた場合、無事に納めてやろうと配慮してくれた上司の好意を無にすることになります。事と次第では、上司が困った立場に置かれかねません。
最終的にはあなた自身が判断すべき問題ですが、よく考えて慎重に行動すべきではないでしょうか。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日