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なっとく法律相談  2006年7月25日 更新

法律改正前に犯した罪でも、改正後の刑が適用される?

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Q.

 私は2006年1月9日に万引きをして、つかまりました。
 検察に呼ばれたのは7月7日でしたが、そのときの取調べで「罰金刑にする」と言われました。そのときは仕方がないと納得したのですが、あとから万引きが罰金刑になったのは5月だと知りました。
 法律改正前に犯した罪でも、改正後の刑が適用されるのですか?

(20代:女性)

A.

 刑法及び刑事訴訟法の一部を改正する法律が、2006年5月8日に公布されました。公布の日から起算して20日を経過した日に施行されますので(附則第1条)、5月28日から施行されたことになります。この改正により、窃盗235条)に罰金刑(50万円以下の罰金)が加えられました。
 これまで、窃盗罪の刑罰は「10年以下の懲役」しかなく、万引きなど比較的軽微とみなされる場合は、その多くが起訴猶予になっていました。しかし、ここ10年で万引き事犯が成人でも2倍以上に急増したのを受けて、罰金刑が新設されることになったものです。

 ところで、刑法は「犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる」としています(6条)。
 憲法39条は「何人も、実行の時に適法であった行為又は既に無罪とされた行為については、刑事上の責任を問われない」と規定しています(事後法の禁止)。そして、その趣旨から、実行行為(犯罪行為)の時点で定められていた刑より重い刑で処罰されることはないと解されています。
 6条は、事後法の禁止の規定から直接導かれるものではありません。なぜなら、裁判時に刑が軽く変更されていた場合でも、実行行為時の罪で処罰することは何ら不都合がないからです。
 しかし、刑法は、刑罰が軽く変更された場合には、もはやその罪に対する法の評価が変化したものとして、政策的にその軽い罪で処断するとしました。

 ところで、あなたが犯罪を行ったのは1月であり、改正刑法が施行されたのは5月です。そこで、もし窃盗罪の刑罰が重く変更されたなら、重くなった罪で処断されることはありません(罪刑法定主義)。
 では、窃盗罪は重く変更されたのでしょうか。
 いままで、窃盗罪には10年以下の自由刑しかありませんでした。「10年以下の懲役」は、具体的には「1月以上10年以下」ということです(12条)。
 しかし、今回の改正により、自由刑のほかに罰金刑が選択できるようになりました。ということは、窃盗罪の刑の下限が「1月以上の懲役」から「50万円以下の罰金」に引き下げられた、すなわち刑が軽くなったということになるのです(10条1項、刑の軽重)。
 そこで、あなたは新しい軽い刑を適用された結果(前述6条)、罰金刑に処せられたというわけです。

 今回の改正により、窃盗罪の刑は法的には軽くなったわけですが、実質的には処罰の対象となる範囲が広くなったということができるでしょう。
 改正前なら、あなたは結果的には起訴猶予執行猶予付きになった可能性が高いと思われます。しかし、あなたのようなケースを罰していくことが、今回の改正の目的だということです。

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