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なっとく法律相談  2006年7月31日 更新

保険会社の提示した示談金に納得がいかない!

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Q.

 先日、子どもが交通事故にあった後様子が急変し、検査したところ、高次脳機能障害と診断されました。しかし、事故前のデータが無い為、原因が事故によると断定できないという理由で、保険会社は8万円程度の示談金を提示してきました。
 事故前のデータが無いのは、事故前には子どもは健康であり、あえてMRIやスペクトの検査をする必要が無かったからです。子供は幼稚園から私立で、英語やパソコン・バイオリン・水彩画・油絵・掛け算割り算・四字熟語等も勉強し、同じ年頃の子の中では優秀な方であったと思います。
それなのに、今は食事や入浴をした事も忘れたり、時には父親の名前も思い出せなかったり、旅行等に行った事も忘れてしまう有様です。この先改善するか悪化するかも全く判らない状況です。
 親戚縁者にそういった障害のある人は一人もいませんし、事故以外で強く頭をことは一度もありません。原因は交通事故としか考えようがありません。
 裁判となった場合認められる確率はどれくらいなのでしょうか?是非相談にのって下さい。

(40代:女性)

A.

 交通事故の相手方の責任を追及するには、損害賠償等を求めて民事訴訟を提起する方法と、業務上過失致傷罪(刑法211条)の疑いで刑事告訴する方法があります。
 民事上の責任と刑事上の責任は別のものであり、異なる裁判手続で審理されます。したがって、同じ事件に端を発した訴訟でも、裁判所の判断により両者の結論が分かれることがあります。
 しかし、ご相談文に書かれた事実を拝見する限りでは、いずれの責任も認められる可能性が高いと思われます。

 第1に、民事訴訟を提起して、逸失利益、介護費用、慰謝料等を請求する方法を取る場合の注意点を以下にご説明します。
 交通事故を原因とする損害賠償請求では、不法行為民法709条)に基づくよりも、自動車損害賠償法3条による損害賠償請求の方が、原告(被害者側)の立証責任がいくつかの点で軽減され、有利です。同条項によれば、運転者側の過失、被害者側の無過失、自動車に構造上の欠陥・機能障害がないことは、加害者が立証しなければならないのです。

 それにしても、(1)交通事故によって損害が発生したこと、そして、(2)交通事故と損害の間に因果関係があることについては、原告(被害者側)が立証しなければなりません。
 保険会社が安い示談金の理由としているのは、この(2)の点です。交通事故の事実は認めるが、お子さんに発生した障害はこの交通事故のせいではないというのです。そこで、事実関係を調べ、資料を集めることにより、因果関係を立証しなければなりません。
そのためには、

  1. 「事故前お子さんには何ら障害がなく、通常の生活が送れていた」という事実を示す資料
    (相談文にあるように、健康人には精密検査の必要などないのが普通です。したがって、 事故前に健康だった事実を示すためには、学校の健康診断結果、担任の先生の意見、学校の成績などで一応足りると思われます。)
  2. 事故後の医師の診断書、各種検査結果、通院記録
  3. 日常生活の記録
    (担当の先生の所見などのほか、本人、家族の日記なども資料として有効です。日常生活で気のついたことをできるだけ詳細に記録しておくことをお勧めします。)


 第2に、損害額の確定が必要となります。民事訴訟を提起するには、訴状に訴額(裁判による請求がそのまま認められた場合に原告が得る経済的利益)を記載しなければなりません(民事訴訟法8条1項。また、133条など)。
 これには、障害が残った場合の逸失利益などが含まれるため、素人が簡単に算出できるものではありません。しかし、事故により出費を余儀なくされた金員(治療費、交通費等)については、必ず領収書やメモを取っておき、記録を残しておくようにします。

 この種の訴訟を戦うには、本人訴訟では困難であり、相手方との関係でも不利であると考えます。早く信頼できる弁護士に依頼して、集めた資料を有効に役立てて下さい。

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