トップページ > なっとく法律相談 > 認知症の父が壊した病院の備品、弁償する義務はある?
なっとく法律相談 2006年9月 4日 更新
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妻の父親は認知症(介護度2)ですが、がんの治療のためある病院に入院することになりました。
その病院は、父の認知症を知った上で入院を勧めてきたものですが、付き添いを必要とするなどの条件は一切提示されませんでした。
ところが先日、病院から連絡があり、父がシーツを便器に突っ込んだり、医療機器を壊したため、至急病院に来るように、というのです。病院側から具体的な請求は受けていませんが、妻はいったいいくら請求されるのかと、大変不安を感じているようです。
父の行為に対して弁償するよう請求があった場合、支払う義務はあるのでしょうか。
(30代:男性)
故意・過失によって他人に損害を与えた場合は、その損害を賠償する責任を負います(不法行為責任、民法709条)。
したがって、看護婦の態度が気に入らないからと病院の備品を損壊したような場合には、たとえ入院患者であっても、病院からの損害賠償請求に応じなければなりません。
しかし、病気による苦痛や、認知症により通常の人が有する判断力を欠いたために備品を壊した場合には、故意・過失によって損害を与えたとはいえません。
したがって、このような場合には、病院はお父さんの行為につき損害賠償を請求することはできません。
ところが、本件においてお父さんはがん治療のために入院されているため、認知症の症状による「免責」は働かないとも思えます。
しかし、病院は入院患者の健康状態を総合的に把握し、最適の環境を整え治療を行う義務があると考えられます。
すなわち、がん治療が目的で入院した患者であっても、その他の疾病が無いか、あるとすればそれに配慮しつつ治療行為を行うことは、患者と病院が締結している診療契約(準委任契約、民法656条)によって負う善管注意義務(民法644条、656条)にあたるといえます。
もし、病院が認知症の患者に必要とされる配慮を欠いた結果、お父さんがケガをしたような場合には、かえって病院側がお父さんに対し損害賠償責任を負うことになります(民法415条)。
集計期間: 2008年6月22日-6月28日
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