なっとく法律相談 2006年11月 6日 更新
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ある社長の愛人です。その人から「今度購入するビルの名義人にならないか?」といわれ、どうしようかと悩んでいます。
名義人とは何でしょうか。どういうメリット、デメリットがあるのでしょうか。
(20代:女性)
一口に「名義人」といっても、不動産、保険、会社の取締役、クレジット・カード・・・等、いろいろなものについて「名義人」というものがあります。
しかし、いずれも、「対外的に権利を有し義務を負う者のことである」と考えていただければいいでしょう。ひょっとすると本当の権利者は他にいるかもしれないのですが、世間に対して「私が名義人です」と名乗った以上、その人が責任を持つことになる、そういう立場の人のことです。
「ビルの名義人」は、ビルという不動産につき、登記簿上に登記権利者として記載されている人です。不動産登記制度は、真の権利者を公示することで不動産取引の安全と円滑を図るためのものですから、登記をした者は公示した内容に関して責任を持たなければなりません。
その代わり、当該不動産につき権利を主張する者が現れた場合には、登記をもって「私が権利者です」と主張できるのですが、これは真の権利者が登記をした場合のメリットであって、権利がない単なる登記上の名義人が享有できるものではありません。これを、「登記には公信力がない」といいます。
登記名義人が負う義務はいろいろ考えられますが、一番身近で、かつ確実に履行が義務づけられるのは、納税義務でしょう。これは、名義人が真の権利者でない場合の大きなデメリットといえます。
A子さんがビルの所有者として登記されると、本当の所有者はビルを買った社長さんであっても、対外的には「Aが所有者である」との公示がなされたことになります。
そこで、税務署は登記を調査して、「この不動産についてはA子さんが新たに所有権を取得したのだ」ということで、A子さんを納付義務者として不動産取得税、固定資産税などの税金を課してきます。
もちろん、愛人である彼が払ってくれるうちはよいのですが、将来不仲になったとき、あるいは経済的に行き詰ったときには、面倒なことになりそうです。
真の権利者こそ、それらを負担すべきなのはいうまでもありません。しかし、それはあなたと彼との間の事情であり、世間、とくに行政に対して、そういう言い訳は通用しません。行政処分は一律かつ迅速に行われることが目指されているので、行政機関は公示の裏に隠れた真実の権利関係には興味がないのです。
真の権利者と登記上の権利者が異なる登記は、「不実の登記」とよばれています。実際には、脱税、節税、強制執行を免れるための手段等としてなされることが多いのです。
不動産登記法では、現実の権利関係を登記に反映することが理想とされています。かかる不実の登記の片棒を担ぐことは、決してお勧めできることではありません。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日