トップページ > なっとく法律相談 > 同乗者に「事故の際、賠償請求はしない」旨の同意書を書かせたい
なっとく法律相談 2006年12月11日 更新
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大学生の娘が、サークル活動のため、毎週土日にサークル部員を車に乗せなければならなくなりました。交通の便があまりよくない地域のため、娘が車を出せなくなると、活動を中止せざるを得ない状況です。
しかし、運転があまりうまくない上に、厳冬期の路面凍結などを考えると、万一事故を起こした場合に負担する損害賠償金が気になります。自動車の任意保険は、対人は無制限ですが、同乗者は1000万円までしか出ません。
万一、事故を起こし同乗者に何かあった際、保険の範囲内での保障に同意していただくように同意書を作成したいと考えています。
法的に有効な同意書の作成方法をお教えください。
(40代:男性)
このような同意書は、損害賠償請求権を一定額であらかじめ放棄する意味合いを持つため、その有効性が問題となります。
事故が起きた後で、被害者が加害者に対し損害賠償請求権を放棄することには、何の問題もありません。それならば、あらかじめ損害賠償額の取り決めをすることも、私的自治の原則から認められるとも思えます。
しかし、あらかじめ放棄する場合には、まだ損害が実際に生じたわけではないため、合意時に想定しなかったような重大な後遺症が残った場合でも合意が有効といえるかが問題となるのです。
合意書を作成したときにはサークル員全員が賛成し合意したとしても、いざ事故が起きて半身不随のまま一生を送らなければならなくなったような場合に、被害者が「合意書では、通常考えられる事故と損害を想定していたにすぎない」と主張して、更に巨額の損害賠償を求めてくることは容易に予想できます。
また、相互の合意で成立する契約関係に比較して、不法行為責任の問題については、当事者の意思よりも被害者の救済が重視されます。つまり、現実に半身不随になった者を救済するため、「当事者の通常の意思を超える」として、裁判所が合意書で定められた賠償額の制限を無効と判断をする可能性があるのです。
もっとも、娘さんには何の義務もないのにサークル運営のため車を出すことになったわけで、このような状況で事故が起きた場合には、「好意同乗」として、賠償額が減額される傾向にあります。
しかし、運転が未熟であることを知りながら他人を同乗させた行為は、それ自体、重過失と認定されることも考えられます。
このように、現時点で有効な合意書を作成することは可能でも、万一深刻な事故が起きた場合にまでそれが有効と判断されるかどうかは保障できません。
娘さんが車を出さないと活動ができないという、サークル運営の環境自体にも問題があるのではないでしょうか。一切のリスクを、一通の合意書に託すのは無謀なように感じられます。
合意書を作成する前に、今一度、保護者の間で十分話し合われることをお勧めしたいと考えます。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日
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