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なっとく法律相談  2007年1月29日 更新

満員電車内で破れたコート、鉄道会社に損害賠償請求できない?

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Q.

 通勤のため、毎日電車を利用しています。ところが、先日、満員の電車内でコートを破かれてしまいました

 私は普通に乗車していただけで、何の過失もありません。それなのにコートを買いかえなければならないことに納得がいかず、鉄道会社に損害賠償を要求しましたが断られてしまいました。

 鉄道会社が言うには、「約款の中で、客の手回り品に関しては保障しないと規定している。この契約は客が切符等を買った時点で結ばれたことになる」のだそうです。私は約款の存在をしりませんでしたが、この約款は、書店や駅で代金を払って購入しなければ手に入らないそうです。

 こんなものに本当に効力はあるのでしょうか? 損害賠償させることは出来ないのでしょうか?

(20代:男性)

A.

 約款とは、多数の取引について一律に適用するために、契約の一方当事者たる事業者が作成する定型化された契約条項をいいます。

 運送契約、保険契約、クレジットカードに関する契約などでは、その契約の一部であるサービスを提供する事業者が、同一の内容の契約を多数の人と締結することが想定されています。そのような契約においては、取引を一元的に処理することで合理化・効率化が図られる必要があります。

 たとえば電車で客を運送する契約において、一人ひとりに契約の内容を確認させ、納得した上で乗車してもらうことは、現実的に不可能です。客の方も、電車に乗るたびに契約を確認させられ署名押印をしなければならないとしたら、不便で仕方がありません。

 そこで、「このような条件であなたと契約を締結します」ということを、約款において一方的に宣言するわけです。


 しかし、私たちが普通にイメージする契約とは、当事者が話し合って契約の内容を話し合い、合意に達したうえで契約書を作成し、双方が署名押印する・・・というものですね。

 そして、もし合意に達しない場合には契約を強いられることはないのです。これを「契約自由の原則」といいます。私法(私的権利関係を規律する法律)の大原則です。

 ところが、約款では、ご相談のように、契約の一方当事者である客が、約款の内容を知らされないことがあります。これでは、契約自由の原則が守られていないことになるのではないでしょうか。

 また、保険契約などでは約款を記載した小冊子が提供されることがありますが、あの虫眼鏡を使わないと判読できないような約款をもって、契約内容を知ったことになるのに問題はないのでしょうか。

 これらが、「約款の有効性」として問題とされる点なのです。


 この点については、約款の現実的必要性から、「約款条項について個別的交渉がなくても、約款を契約に組み入れるとの意思が当事者にある」と考えて、約款条項を有効とする見解が有力です。

 したがって、残念ながら、あなたは約款の無効を主張してコートの代金相当の損害賠償を求めることはできません。

 ただ、そうだとしても、約款の内容を知るための費用を客に負担させることが妥当とは思われません。

 多数の客を相手方とする事業者としては、切符売り場に定款についての注意書きを掲示するなど、自己の負担において、一般の理解を得られるよう努力すべきでしょう。

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