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なっとく法律相談  2006年1月23日 更新

加害者を自分で捕まえて弁償させる事はできる?

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Q.

 歩きタバコで服を焦がされた場合、もし加害者が逃げようとしたら、捕まえて弁償させることはできるのでしょうか。

 歩きタバコで服を焦がす行為が犯罪にならないとすれば、逮捕するわけにもいかず、加害者の逃げ得になってしまうのではないでしょうか。

(20代:男性)

A.

 わが国では自力救済が禁じられています。明文で定められているわけではないのですが、正当防衛刑法36条)、緊急避難37条)をはじめ、自力救済を裏側から禁じていると解される規定が諸法律に散見されます。

 自力救済とは、国家・公権力の助力を待たずに私人が自力で損害を回復する行為をいいます。たとえば、財布を盗られた人が犯人の家に行って財布を取り返す行為です。

 それでは本件の場合にも、被害者は加害者に指一本触れることは許されず、まず警察に通報して事情を説明するべきなのでしょうか。


 そんなことをしている間に、加害者は何処かに立ち去ってしまうでしょう。見失ったら最後、名前も分からず探すこともできず、泣き寝入りをするしかない。そのような場合でも、「犯罪ではないから」と手を拱いているしかない、そんな不合理なことはありません。

 呼び止めて、追いかけて、「あなたのタバコで服が焦げました。弁償してください」といえるのは当然でしょう。逃げようとしたら捕まえるしかありません(ただし暴行を加えることは許されません)。

 歩きタバコによって服を焦がされたというのに、「この行為は刑法上の罪ではないのだから、単に弁償させるために捕まえることはできないのではないか」・・・そのような疑問を抱くことも、何でも法律問題として取沙汰される昨今、無理もない面があるのかもしれません。

 しかし、そのような感覚は、何より社会生活上の常識に沿わないように思われるのです。


 では、あえて法的に処理すると、どのようになるのでしょうか。

 歩きタバコを条例で禁止している自治体では、たとえ服を焦がさなくても、行為自体が違法の評価を受けます。現行犯逮捕は私人にも認められているので(刑事訴訟法214条)、条例違反を理由として、犯人を逮捕することができます。

 そのような条例がない自治体では、歩きタバコをする行為自体は違法の評価を受けないため、逮捕することはできません。しかし、服を焦がす行為は器物損壊罪刑法261条)にあたります。火傷を負ったら、傷害罪204条)または過失傷害罪209条)等に該当します。

 ただ、器物損壊罪には未遂処罰規定がないため、故意がない場合には罪になりません。したがって、故意で服を焦がしたのでない場合には、罰せられることはありません。

 では、故意か過失か分からなければ、逮捕することはできないのでしょうか。

 故意か過失かは、現場で容易に判断できることではありません。そのリスクを、被害を受けた者が負担しなければならないのは不当です。逮捕の時点では分からなくても、被疑者を逮捕することが認められます。

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