トップページ > なっとく法律相談 > 無償で貸している土地、20年で相手の物に!?
なっとく法律相談 2007年2月26日 更新
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私のいとこ夫婦は、父親の遺産相続で得た私の土地に店を建て、うどん屋を経営しています。土地は無償で貸しているのですが、なにもいわずに20年間そのままにしておくと、「所有権の時効取得」が成立し、いとこ夫婦が所有者となってしまうと聞きました。
もうすでに20年以上が過ぎました。いとこ夫婦から土地を明け渡してもらう手段はないものでしょうか?
(50代:女性)
長期にわたり他人の物を占有すると、時効によりその物の所有権を取得する場合があります(民法162条)。占有者が、その物が自分ものでないことを知っていた場合には、同条1項が適用され、20年間続けて占有することが必要です。
しかし、時効取得が成立するためには、さらに、「所有の意思」をもって占有することが必要です。たとえば、建物の賃借人は、何年借りている建物に住み続けても、その建物を時効取得することはありません。それは、賃借人には、その建物を「所有する意思」がないからです。言い換えると、他人である大家さんの建物を借りている意思しかないのです。
あなたの場合、自分の土地を無償で貸しているとのことですから、「使用貸借契約」(民法593条以下)が成立しているものと考えられます。あなたのいとこ夫婦には、「所有の意思」がなく時効取得は考えられないはずです。
しかし、賃貸借の場合と異なり、無償で物を貸す「使用貸借」の場合には、賃料を支払うという行為を伴いません。もし、いとこ夫婦が「借りたおぼえはない」と主張した場合には、無償で貸していることを明らかにして、いとこ夫婦に「所有の意思」がなかったことの証明が必要となります。
次に、使用貸借契約を前提にして、土地を明け渡してもらう方法を検討します。
貸した物の返還時期については、民法597条が規定しています。
契約に返還の時期が定められていなかった場合には、同条2項の適用が考えられます。同項によると、借主は、契約に定めた目的に従って「使用及び収益を終わった時」にその物を返還しなくてはなりません。
あなたのいとこ夫婦の場合、現在うどん屋を経営しているとのことですから、「使用及び収益が終わった」というのは困難かと思われます。しかし、597条2項は、さらに次のように規定しています。
ただし、その使用及び収益を終わる前であっても、使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、貸主は、直ちに返還を請求することができる。
問題は、20年以上経過していることが、「使用及び収益をするのに足りる期間を経過した」といえるかどうかです。
裁判例では、38年経過した事例ですが、この条文の適用を可能と判断したものがあります。
あなたの場合も、民法597条2項ただし書きを根拠に土地の返還を請求することになります。
20年以上経過しているので「使用及び収益をするのに足りる期間を経過した」と主張する際に、貸主であるあなたがその土地を必要とする事情があれば、あわせてその事情も主張してください。(もっとも、さきほどの38年経過の事例では、裁判所は、このような事情がなくとも、民法597条2項ただし書きの適用を認めています。)
まず、内容証明郵便で、使用貸借契約に基づく土地の返還請求をすることです。仮に、すぐに返してはくれず、「ちょっと待ってくれ」といわれても、それは、使用貸借契約の存在を証明する事実になります。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日