トップページ > なっとく法律相談 > 飼主でない人が連れていた犬に噛まれた!責任は誰にある?
なっとく法律相談 2007年2月20日 更新
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リードを付けずに歩いていた大型犬に、私の飼い犬が噛まれました。私の犬も怪我をしたのですが、一緒にいた私の母親も飼い犬を庇おうとして、足をひねる等のケガをしました。
実際にその大型犬を散歩させていたのは、飼い主の自営業者ではなく従業員であり、その人が謝りにきました。そして、その人が治療費と慰謝料を払うといっています。
飼い主は、謝罪にも来ていません。飼い主には責任はないのでしょうか?
その犬に噛まれたのはこれが初めてではありません。前回、噛まれたときは、犬が全治一ヶ月のケガを負いました。飼い主は、治療費も慰謝料も払うことなく、謝罪もしませんでした。
その飼い主は、一筋縄ではいかない人で、近所にも同様の被害を受けた人がいるのですが、皆、怖くて治療費などを請求できずにいます。
こういう人を放っておくと、また同じような被害がでるかもしれません。そこで、法的手段に訴えたいと思い、今回思い切って相談してみました。
(30代:男性)
大型犬の飼い主の従業員が治療費と慰謝料を払うと申し出ているということですが、このような損害賠償義務については、民法718条が規定しています。同条によると、動物を飼育する者は、「動物の種類及び性質に従い相当の注意をもってその管理をした」ということを証明しない限り、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負うとされています。
そして、同条は、主体によって、第1項では動物の「占有者」の、第2項では動物の「管理者」の、責任を規定しています。従業員は、第2項の「管理者」として責任を負うことになります。
本件では、大型犬を散歩させる際にリードを付けていなかったというのですから、「相当の注意をもってその管理をした」とはいえません。したがって、従業員は損害賠償責任を負います。
問題は、飼い主本人の責任です。
「管理者」である従業員が治療費等を支払った場合、動物の「占有者」である飼い主は一切責任を負わないのでしょうか。
まず、「占有者」である飼い主についても、「相当の注意」をもってその管理をしたかどうかが検討されます。そして、「占有者」の場合、「相当の注意」をしたかどうかは、管理者を「選任・監督」する行為について判断されます。
本件では、管理者が大型犬を散歩させるのにリードさえ付けていなかったのですから、飼い主は「相当の注意」をもって管理者を「選任・監督」したとは言い難いでしょう。しかも、その大型犬が他の犬を噛むのはこれが初めてではないとのことですから、なおさら責任は肯定されやすいといえます。
飼い主の責任が肯定された場合、飼い主と従業員双方の責任の関係が問題となります。この点について、判例は、動物の占有者と管理者が並存する場合には、「両者の責任は重複して発生し得る」としています。
すなわち、あなたの場合、従業員から損害賠償を受けることもできますし、飼い主本人に対して、損害賠償を請求することも可能です。(但し、一方が全額の賠償をした場合には、重複して請求はできません。)そして、一方が全額支払った場合、責任の割合に応じて、他方に、多く払った分を請求することができます。しかし、それはあくまで加害者側内部の問題です。
「こういう人を放っておきたくない」というあなたの気持ちを考えると、飼い主本人に損害賠償請求をすることが、ご希望に沿うことかもしれません。しかし、従業員が治療費と慰謝料を払うといっているのですから、ここではそれを受入れたうえで、飼い主に対しては別の方法を考えてみてはどうでしょう。
例えば、犬に噛まれたことを、保健所または動物指導センター等に届け出ると、飼い主に対して指導を行っています。
あるいは、条例で、犬を放す行為を禁止している地方自治体もあります。
損害賠償という民事責任を追及するとともに、再発防止の観点からも、保健所等に指導をお願いするという方法も考えてみてください。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日