トップページ > なっとく法律相談 > 宅配業者に突き飛ばされ入院!賠償請求は会社にできる?
なっとく法律相談 2007年3月26日 更新
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私の母が道路を通行中に、路上(駐車禁止場所)に止めてあった宅配車の後方から飛び出してきた宅配業者に突き飛ばされました。79歳の母は転倒し、大腿骨骨折で1ヶ月入院しました。現在もリハビリ中で接骨院に通院中です。
宅配業者の会社側は、業務中の事故にも関わらず、一切関係ないという姿勢です。保険等にも加入していないので本人の責任の下に処理する事になっているとのことでした。損害賠償の請求は、本人あるいは会社側のどちらにすればいいのでしょうか。
この事故については最寄の警察で事故届けを出し、事情聴取も取っております。
また、慰謝料はどの様に算出するのでしょうか。
(50代:男性)
他人の故意または過失行為によってケガをさせられた者は、不法行為による損害賠償請求をすることができます(民法709条)。本件の宅配業者は、配送車の後方から道路に飛び出す際に、通行人等に注意を払う義務があったといえます。にもかかわらず、お母様を突き飛ばしていますので、宅配業者には過失が認められるでしょう。彼自身が、まず、損害賠償責任を負います。
さらに、民法715条によると、使用者は被用者が事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負うとされています。使用者は被用者を使うことによって利益をあげているので、他人である被用者の不法行為についても責任を負うとされたのです。「事業の執行について」といえるかどうかは、過去の裁判例によると、外形的に判断されます。本件では業務中の事故とのことですので、これも認められるでしょう。
したがって、会社側と宅配業者のあいだに「使用関係」が認められる場合には、損害賠償は、宅配業者自身にもできますし、会社側にも全額請求できます(一方が払えば、他方は免責されます)。資力のある会社側に請求すべきでしょう。使用者である会社側は、被用者の選任・監督について相当の注意をしたこと、又は、注意をしても損害が生じていたであろうことを自ら証明しない限り、この責任を免れません(民法715条1項ただし書)。
会社側に請求する際には、民法715条の使用者責任であることを指摘してください。本件では、警察で事情聴取もされたとのことですので、被用者の不法行為の事実も証明できるものと思われます。
もっとも、現在の宅配業においては、自分の車をもちこんで、会社とは請負契約を結んで業務を行っている場合があります。このような場合、会社側は注文者ですから、原則として請負人の行為については責任を負いません。注文者は、注文又は指図について過失があった場合にのみ、責任を負うとされています(民法716条ただし書)。注文者に過失が認められない場合、民法709条に基づいて、宅配業者者自身に請求することになります。
どちらに請求する場合でも、相手方が任意に支払わない場合には、内容証明郵便を送って、請求する意思を明らかにします。訴訟も見据えたうえで、損害額を証明するため、病院の領収書等を用意し、通院にかかった費用など請求するものを整理しておきましょう。ただ、現在も通院中とのことですので、損害賠償の額については、現時点では一部の請求であることを明示します。
慰謝料については、これまでの法律相談で扱っておりますので、そちらの記事もご参照ください。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日