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なっとく法律相談  2007年5月 1日 更新

盗まれた自転車が有料駐輪場に!代金を支払う義務はある?

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Q.

 駅前の無料駐輪場に停めておいた私の自転車が盗まれました。鍵はかけていました。1か月後、少し離れた有料の市営駐輪場で、偶然その自転車をみつけました。鍵は壊されていました。

 自転車を返却してもらおうとしたところ、1か月分の駐輪場利用代金を請求されました。

 結局、自分で停めたわけではないからと主張し、無料で返してもらいました。

 この場合、私に代金を支払う義務はあったのでしょうか。

(20代:男性)

A.

 駐輪場の利用代金は、駐輪場を使用する対価として支払われるものです。有料の駐輪場を使用する際には、駐輪場を使用させてもらいその対価として利用代金を支払う、という契約が成立しているわけです。ところが、あなたの自転車は、窃盗犯人が駐輪場に止めていったものでしょうから、あなたと駐輪場とのあいだでは契約は成立していません。あなたは、契約に基づく駐輪場利用代金の支払い義務を負うものではありません。


 しかし、駐輪場としては、1ヶ月間、自転車1台分の駐輪スペースが使用できなかったわけですから、その間の利用代金に相当する損害を被っています。もし、窃盗犯人が、あなたの自転車を勝手に放置していったのであれば、駐輪場は、不法行為として損害賠償請求が可能です(民法709条、占有者として民法198条)。この請求は不法行為をした者、すなわち、勝手に自転車を放置していった者に対してなされるものです。自転車の所有者であるからというのみで、あなたに責任が生じるわけではありません。


 あるいは、窃盗犯人は、駐輪場と契約をしてあなたの自転車を停めていたのかもしれません。そのような場合、駐輪場は、窃盗犯人に対して、契約上請求できる利用代金が支払われるまで、自転車を返さないと主張することができます。これを留置権といいます(民法295条)。留置権が成立すると、駐輪場は契約の相手方である窃盗犯人に対してのみならず、第三者に対しても留置権を主張できます。

 このことは、先ほど述べた、窃盗犯人が勝手に駐輪場に自転車を放置していった場合にもあてはまります。駐輪場は損害賠償が支払われるまで自転車を留置できます。


 このように、あなたには、契約上の利用代金支払義務があったわけではありませんが、駐輪場が留置権を主張した場合には、利用代金相当額を支払わないと自転車を返してもらえないという関係にあったといえます。自転車は盗まれ、駐輪場の利用代金は請求され、踏んだり蹴ったりですが、駐輪場も利用代金の支払いを確保する必要があったわけです。


 しかし、駐輪場は、あなたの自転車の鍵が壊れている様子から、事情を察したのかもしれません。駐輪場が、あなたの主張を受け入れて自転車を返しているので、留置権は消滅します(民法302条)。あなたは、利用代金を支払う義務がなくなったわけです。

結局、駐輪場は、自転車を置いていった者に対して、利用代金相当額を請求する権利を有するものの、留置権という担保を失った状態です。

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