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なっとく法律相談  2007年5月10日 更新

蒸発した元夫との売買契約が詐害行為!?

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Q.

 建築会社を経営する夫と一昨年末に離婚、昨年末に元夫の会社名義の土地と家を購入しました。以前から、私と子供と私の両親が住む家をさがしており、元夫が私に売却するという話になっていました。代金は、契約当日、銀行口座に振込まれております。

 ところが、今年初めに元夫の会社が倒産。本人は蒸発し行方不明です。

 今回、会社の債権者が、私と元夫の売買契約を詐害行為ではないかと言い出し、裁判を起こされそうな状況です。私にしてみれば、正当な売買契約を結び購入したわけですし、その時は倒産すること、ましてや元夫が蒸発することなどは考えてもみませんでした。

 もし裁判を起こされた場合、私に悪意がなくても詐害行為取消権は認められるのでしょうか。私はどのような対処をすればいいのでしょうか?

(30代:女性)

A.

 まず、詐害行為取消権についてご説明します。

 本来、債務者が自分の財産を処分することは自由です。しかし、債務者が資力の乏しい状態で自分の財産を処分してしまうと、貸し金債権や売掛債権をもっている債権者たちは、債権回収のために強制執行をしても引当てとなる財産がなくなります。そこで、債務者が債権者を害するような財産の処分等をした場合には、債権者は裁判を起こしてその行為を取消すことができるとされています(民法424条)。

 詐害行為取消権が認められるためには、(1)債務者が、債権者を害する行為(詐害行為)をしたこと、(2)債務者及び受益者が「債権者を害すること」を知っていたことの二つの要件が必要です(民法424条1項)。あなたのように、財産を譲り受けた者を受益者いいます。


 本件で問題となるのは、まず、不動産を相当な価格で売却することが詐害行為といえるかどうかです。不動産を無償で譲渡したり(贈与)、廉価で売却することは、もちろん詐害行為になりますが、相当価格で売却した場合にも詐害行為になりうるとするのが判例です。不動産のままで保有していれば強制執行により換価できますが、売却され金銭に変わってしまうと消費されやすくなるからです。

 もっとも、詐害行為にあたるかどうかは、主観的要件との相関関係で総合的に判断されているようです。相当価格での不動産の売却が必ずしも詐害行為にあたるわけではありません。

 受益者であるあなたが、不動産の売買当時、悪意でなかったかどうかも問題となります。悪意については、過去の裁判例では、行為の詐害性の程度によって、単なる認識で足りるとするものから、害意・通謀まで必要とするものまで柔軟に判断されています。不動産の売却の場合、詐害性の程度は中程度とされ、行為の目的、動機などが総合的に考慮されています。

 あなたとしては、裁判を起こされたときのために、まず、不動産の売買が相当価格であったこと、及び、債権者を害することにつき悪意ではなかったことを証明できるよう準備しておく必要があります。悪意でなかったことを証明する責任を負うのは受益者であるあなたの側ですが、主観について証明することは簡単ではありません。それを裏付ける客観的な事実を整理しておくべきでしょう。


 また、裁判を起こされた場合には、弁護士にご相談されることをお勧めします。費用はかかっても、そのほうが良い結果が得られると思われます。資金にお困りの場合は、民事法律扶助の制度もあります(日本司法支援センター)。資力基準・事件の内容等の条件はありますが、申請が認められれば費用の立替等の援助があります(毎月分割で償還が必要です)。

 なお、会社の破産手続が開始されると、詐害行為取消の訴訟手続は中断され、否認権の対象となります(破産法45条)。

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