トップページ > なっとく法律相談 > 刑務所に行った元夫に養育費を請求できますか?
なっとく法律相談 2007年6月14日 更新
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夫が罪を犯し、それが原因で離婚しました。現在、刑務所に収監されています。この元夫に、養育費などは請求できるのでしょうか。
私はこれから子どもと生活していくのですが、夫と復縁することはありえませんし、新しく男性とお付き合いすることも、今はまだ考えられません。少しのお金でも養育費として請求できればと思い、ご相談した次第です・・・
(30代:女性)
離婚しても親子の関係が消滅するわけではないので、子は親に養育費を請求することができます(民法877条~890条)。しかし、現実に刑に服して刑務所にいる人に、民事上の請求を行うことができるでしょうか。
刑罰には、その剥奪される法益の種類によって、生命刑、身体刑、自由刑、財産刑、名誉刑などがあります
近代以前においては、生命刑と身体刑が主でした。生命刑は刑罰として命を奪うものであり、身体刑は身体に危害を加えるものです。文明の発達とともに、これらの刑は次第に採用されなくなる傾向にあります。現在のわが国で採用されているのは、生命刑、自由刑、財産刑で、自由刑には懲役と禁錮があります。
起訴された事件について犯罪の証明があると認められたときは、有罪の判決が言渡されます(刑事訴訟法333条1項)。そして刑罰が執行されます。
また、刑罰の言渡に伴って、種々の資格制限が行われることがあります。たとえば公務員となる資格を失う(国家公務員法38条、地方公務員法16条、学校教育法9条)、選挙権・被選挙権を失う(公職選挙法11条、252条)などです。
しかし、刑罰の執行によって民事上の権利能力が失われるわけではありません。権利能力とは私法上の権利義務の主体となる能力のことですが、生命刑の場合は別として、刑事罰は民事上の能力まで剥奪するものではないのです。したがって、自由刑に服している人に民事上の請求をすることも可能です。
方法は、刑務所に取り立てに行くわけにはいきませんから、書面を送付してすることになります。たとえば民事裁判を起こすには訴状を裁判所に提出して行うことが必要ですが(民事訴訟法133条1項)、訴状の副本の送達は刑事施設の長に対してされています(民事訴訟法102条3項)。
受刑者に届いた手紙、書面は刑務所において披閲し、内容を確認して、本人に渡すべきと判断された場合には渡されます。
金銭支払い請求などでは、受刑者が親族に手紙を書いて返済を依頼するのが通常のようです。また、入所するとき持参した金員は「領置金」として保管されていますので、領置金があればそれを使って返済することもできます。
ただ、相手に支払い能力がなければどうしようもありません。その場合は、本人が出所し定職につくのを待って、給料の差押えなどの手続にかかることになります。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日