トップページ > なっとく法律相談 > 卑猥な画像を送信してきた外国人への慰謝料請求
なっとく法律相談 2007年7月 5日 更新
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たまにメールのやり取りする男性から、はっきりとわかるような自分の陰部を撮影した画像を携帯で送ってこられました。気持ちが悪いし、とても嫌な思いをしたので謝罪と慰謝料と要求したいのですが請求できますか?その彼は外国の方ですが、外国の方がどうかで慰謝料ができるか変わってきますか?宜しくお願いします。
(20代:女性)
請求相手が外国に居住する外国人であるような場合を「渉外事件」と言います。渉外事件の場合、通常の内国事件の場合と異なり、(1)日本で裁判ができるのか、(2)裁判ができるとして、日本法を適用できるのかが問題となります。
どのような場合に日本で裁判できるのか(1)について、国際的に確立したルールも明文規定も存在しません。そこで、実務上、わが民訴法によって認められる裁判籍のいずれかが国内にあれば日本で裁判ができることとされています(最判S56.1016参照)。
本件事例では、不法行為に基づく慰謝料請求権の成否が問題となっています。そして、不法行為に関する訴えについて、わが民訴法は「不法行為があった地」に裁判籍を認めます(同法5条9号)。そこで、本件では、「不法行為があった地」はあなたが画像を見た国内ですから、日本で裁判ができることになります。
次に日本法を適用できるか(2)についてですが、1つの事件について複数の法が関連する場合、適用されるべき法は「法の適用に関する通則法」によって決められます。そして、同法によれば、不法行為に基づく請求権の成立及び効力については「加害行為の結果が発生した地の法」を適用することとなっています(同法17条)。そのため、本件の場合、「加害行為の結果が発生した地」はあなたが精神的苦痛を被った日本ですから、日本法が適用されることになります。
不法行為に基づく損害賠償または慰謝料請求権が発生するためには、(1)故意・過失のある行為があること、(2)他人の権利の違法な侵害であること、(3)損害が発生すること、(4)故意・過失のある行為と権利侵害との間に因果関係があり、権利侵害と損害の発生との間に因果関係があること、の5つの要件が必要です(民法709条参照)。では、あなたに慰謝料請求権が発生しているといえるでしょうか?
本件男性が行った「猥褻画像を無理に見せる行為」は、あなたの人格権を侵害する故意・過失のある行為と言えます。しかし、本来、自分で自分の陰部を撮影して知人に送信することはそのこと自体で違法とまで言えません。言い換えれば、あなたが被った苦痛は主観的かつ相対的なものです(その写真を受取れば誰もが苦痛を受けるとは限らないという意味で)。そのため、本件の場合、要件(2)の充足(つまり、被害者が受忍するべき限度を超えていたと言えるか、法的救済を要する違法な権利侵害があったと言えるか)が問題となります(最判S47.6.27、最判S63.12.20等)。そして、このような場合の権利侵害の有無については、(1)侵害された権利・利益の内容、(2)侵害行為の態様、(3)侵害時における行為者の主観等が総合的に判断されます。
本件の場合、そもそも受けた苦痛が客観的に判断しにくいものであることから、侵害行為の態様および行為時の男性の主観などについて、原告には難しい裁判となるのではないかと思われます。したがって慰謝料の請求は困難だと考えます。
謝罪請求について
権利侵害により生じるのは損害賠償責任であり(民法709条)、この損害賠償とは金銭賠償を指します(同722条、417条)。そのため、例外が規定されている名誉毀損等の場合を除き(民法723条等)、権利侵害の効果として謝罪責任(謝罪請求権)が生じることはありません。
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