トップページ > なっとく法律相談 > 借金の事実を隠していた相手との婚約破棄と慰謝料請求
なっとく法律相談 2007年7月23日 更新
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私はこれから未婚のまま出産をし、母子家庭で頑張るつもりでいます。父親である彼には認知届にサインをしてもらったので、養育費や出産費用は請求できると思うのですが、そのほかに慰謝料も請求したいと考えています。
というのも、私は学生、彼は社会人なので、妊娠がわかったとき、中絶を希望しました。しかし、「どうしても生んでくれ」といわれ出産を覚悟しました。そのため、私は決まりかけていた就職の内定を辞退、大学の卒業もあやうい状況です。
結婚する意思はあるようですが、正式なプロポーズや婚約指輪などは貰っていません。しかも先日、彼に借金があることが発覚しました。彼は「借金したことはあったが、もう完済したと思っていた。まさかまだ借金が残っていたとは知らなかった」と言い張っています。私は借金があるという事実説明をされないまま、妊娠を決意し、後に彼と結婚すると思っていたのです。
これは明らかに不当ではないのですか?相手に慰謝料請求できるのではないでしょうか?
(20代:女性)
出産費用や養育費を請求することはできます。具体的な金額について合意がみられない場合には、家庭裁判所で調停を受けることもできます。また、金額だけでなく、支払い方法や期間に関しても調停にかけることができます。
しかし、慰謝料請求となると別の話です。ご相談文を拝見する限りでは、むしろ難しいのではないかと思います。つまり、慰謝料請求訴訟を提起しても、負ける可能性が高いと思われるのです。
一番大きな理由は、彼が「結婚したくない」と言明していないことです。
「婚約しているのに、理由もなく結婚しない」というのなら、そのような行為は「婚約の不履行」にあたるため、債務不履行(民法415条)として損害賠償請求をすることができます。しかし、彼はそんな行為をしていないのではないでしょうか。
あなたは、「彼がプロポーズや婚約指輪の贈与をしない」ことを問題にしておられます。しかし、これらは、婚約や婚姻意思があれば必ずしなければならないものではありません。二人が将来の生活について具体的に話し合ったり、両親に紹介するなどの行為があれば、婚約状態にあったとみることができます。
そして、婚約が認められる場合には、正当な理由もなく「私は一人で子どもを育てる」と主張する行為は婚約の不当破棄にあたり、あなたの方が債務不履行責任を負う可能性があります。
この理由について、彼に借金があったことを挙げておられます。
しかし、借金が返済不可能なほど高額で、婚姻生活を維持できないというような特別の事情がある場合には別ですが、単に借金があったという事実のみでは、婚約を破棄する正当事由とは認められません。
なお、出産のため内定を断ったことなども、慰謝料請求の理由とはなりません。彼があなたの就職を妨害した事実などがあれば別ですが、そうでなければ、最終的には自分で決定し、自分の責任でした行為といえるからです。
一人で子どもを育てるつもりなら、「誰にも頼らないで育ててみせる」というくらいの、さらに逞しい意思が必要だと思います。
調停で養育費の支払いが決定されても、金額は、月1万円~6万円以内にとどまるケースがほとんどです。厚生労働省の調査では、全国の母子家庭の半分以上が「養育費を払ってもらったことがない」と答えているそうです。
結婚生活では、思いもかけないことが起こります。お互いに、借金、失業、不治の病に侵されるかもしれません。今回のことは、あなたには想定外の大事件だったのかもしれませんが、そういう時にこそ、二人の関係が実は何を基礎としたものだったかが明らかになるのではないでしょうか。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日