トップページ > なっとく法律相談 > 借金の相続を放棄し、預金・不動産を贈与する事は可能?
なっとく法律相談 2007年7月26日 更新
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現在、私は、自宅不動産と預金を有していますが、かなり多くの借金をしています。自宅不動産と預金は、将来、妻と子供に残したいと考えています。そこで、「遺言で自宅不動産と預金を妻および子供に遺贈する」という内容を書いた上で、妻および子供が相続放棄することによって、妻および子供に借金を相続させず、自宅不動産と預金を取得させることは可能でしょうか。
(40代:男性)
遺贈とは、遺言による贈与、すなわち、遺言によって自らの財産を無償で他人に与えることを言います。自己の妻および子供に対して遺贈することも可能です。妻および子供に対して遺贈すると、妻および子供は、相続人としての地位と受遺者(遺贈を受ける者)の地位を有することになります。
妻および子供が相続を放棄した場合、妻および子供は、初めから相続人でなかったとみなされます(民法939条)。では、受遺者としての地位はどうなるのでしょうか。
受遺者としての地位は、相続とは関係なく遺贈によって与えられるものであるから、相続放棄をしてもその地位を失いません。そうすると、妻および子供は、相続放棄をすることによって借金を相続せずに、自宅不動産と預金の遺贈を受けることができるようにも思えます。
しかし、このような遺贈を認めると、妻および子供は、借金を免れるだけでなく、自宅不動産と預金を取得することができることになり、一方、債権者は、借金の返済を受けることができなくなってしまい、債権者の保護に欠けることになります。
相続放棄をしながら遺贈によって財産を取得することを規制する法律はありません。また、この問題についての裁判例もないようです。しかし、このようなことは、法律の網をかいくぐった一種の脱法的行為といえます。
したがって、「自宅不動産と預金を妻および子に遺贈する」旨の遺言を作成し、妻および子供に相続放棄させることによって、借金を相続させずに自宅不動産と預金を取得させることは、認められないのではないでしょうか。
なお、類似の事案として、限定承認(相続した財産の範囲内で被相続人の債務を弁済し、残余財産があれば相続できる制度)をしながら、死因贈与(贈与者の死亡によって効力を生ずる贈与)を受けた相続人は、死因贈与によって取得した不動産の所有権を相続債権者に対抗することはできないとした判例(最判平成10年2月13日)があります。
集計期間: 2008年10月5日-10月11日
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