トップページ > なっとく法律相談 > 成人した弟の債務を家族が負担する必要はある?
なっとく法律相談 2007年8月 2日 更新
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私の弟が会社で問題を起こしたため、会社は、弟に対して900万円の損害賠償を考えています。私は、会社に対して、弟には支払能力がないことを伝えました。すると、会社は、私と母名義になっている土地を抵当に入れると言ってきました。会社が勝手に私、母名義の土地を抵当に入れることは可能なのでしょうか。
(30代:男性)
そもそも成人した弟の負担した債務を近親者である親や兄弟姉妹が負担しなければならないのでしょうか。
成人した人は、行為能力者として、自ら単独で完全に有効な法律行為をすることができる反面、自らの行為によって負担した債務を自ら履行する義務を負わなければなりません。
損害賠償についても、何人も他人の行為について責任を負わず、自らの行為についてのみ責任を負うという「自己責任の原則」が基調となっています。したがって、自らの行為によって会社に対して損害賠償債務を負担した以上、成人した弟は自らその債務を返済しなければならず、近親者である親や兄弟姉妹はその債務を負担することはありません。会社も弟に対してしか損害賠償請求できません。もっとも、あなたかお母さんが、会社との間で身元保証契約を結んでいたとしたら話は別です。その場合は弟さんの行為によって会社が受けた損害を賠償する義務を負うことがあります。
では、会社が弟に対して取得した損害賠償債権を担保するため、会社が勝手に私と母の名義になっている土地に抵当権を設定することはできるのでしょうか。
会社が土地に抵当権を設定するためには、会社と私・母との間で抵当権設定契約を締結する必要があります。両者間で抵当権設定契約を締結しない限り、会社は一方的に土地に抵当権を設定することはできません。したがって、会社が勝手に本件土地を抵当に入れることは不可能といえます。
なお、弟が未成年者である場合はどうなるでしょうか。
弟が未成年者であれば、弟の負担した損害賠償債務を近親者である親や兄弟姉妹が負担することがあります。未成年者に責任能力(自己の行為の責任を弁識する能力)がない場合、監督義務者である親は、監督義務を怠らなかったことや監督義務を怠らなくても損害が生じたことを証明しない限り、損害賠償債務を負うことになります(民法714条1項)。親に代わって兄弟姉妹が未成年者を監督していたときは、兄弟姉妹も損害賠償債務を負うことになります(同2項)。未成年者に責任能力が認められるかどうかについては、一般的な基準が存在しません。しかし、通常未成年者には賠償能力が乏しいため、資力のある親(監督者)に対して賠償請求できるようにするため、未成年者の責任能力を否定する傾向にあるようです。
集計期間: 2008年5月11日-5月17日