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なっとく法律相談  2007年8月 9日 更新

不公平な生前贈与と遺言、従わないといけない?

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Q.

 私の夫の両親(義親)は夫の弟のことを溺愛しています。義親が生前にその所有する家を夫に内緒で弟に贈与した場合に、夫はその家を取得することはできないのでしょうか。また、義親が「財産全部を弟に相続させる」旨の遺言を作成して死亡した場合、夫は財産を取得することができないのでしょうか。

(30代:女性)

A.

 義親がその所有する家を弟に生前贈与した場合、家の所有権は弟に移転し、義親は家の所有権を失います。その後、義親が死亡しても、すでに家は義親の相続財産ではないため、夫がその家を相続することはできません。また、義親が「財産全部を弟に相続させる」旨の遺言を作成して死亡したときも、夫は財産を相続することはできません。
 もっとも、夫が相続財産の一部を取得することができる場合があります。民法には、兄弟姉妹以外の相続人(遺留分権利者)の遺産に対する期待を保護する「遺留分」制度があります。夫の遺留分が侵害された場合、夫は相続開始後に遺留分減殺請求をすることができます。(民法1031条)。
 遺留分が侵害されたかどうかは、以下の計算式を使って算定します。

 
  1. 遺留分算定の基礎となる財産=〔相続開始時の相続財産〕+〔遺贈相続開始前1年内にされた贈与された財産(注)〕-〔相続債務〕
    (注)婚姻・養子縁組・生計の資本のために相続人に対して贈与された財産(特別受益:民法903条1項、最判平成10年3月24日)や、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与したとき(民法1030条)は、1年以上前に贈与されたものであっても算入されます。
  2. 具体的遺留分の割合=〔抽象的遺留分相続人が配偶者・子のときは2分の1、それ以外のときは3分の1:民法1028条)〕×〔法定相続分〕
  3. 遺留分侵害額=(A)×(B)-{〔相続によって得た財産-相続債務分担額〕}-〔遺贈贈与を受けた額〕

 たとえば、義父が義母、あなたの夫、弟を残して死亡したとします。この場合、各人の法定相続分は、義母(義父)が2分の1、夫および弟が各4分の1となります(民法900条1号、4号本文)。義父は家(1億円)と預金(2400万円)、借金(400万円)を有していました。義父が弟に対して家を死亡の半年前に生前贈与していた場合、夫は弟に対して遺留分減殺請求できるでしょうか。

  1. 遺留分算定の基礎となる財産=〔預金(2400万円)〕+〔家(1億円)〕-〔借金(400万円)〕=1億2000万円
  2. 夫の具体的遺留分の割合=〔2分の1〕×〔4分の1〕=8分の1
  3. 夫の遺留分侵害額=1億2000万円(A)×8分の1(B)-{〔600万円(相続によって得た財産:預金2400万円×4分の1)-100万円(相続債務分担額:借金400万円×4分の1)〕}-〔0円〕=1000万円
    夫は、弟に対して1000万円分の遺留分減殺請求をすることができます(民法1031条)。夫が弟に対して遺留分減殺請求をした場合、弟が1000万円を価格弁償しない限り(民法1041条1項)、夫は、家の所有権の10分の1(遺留分侵害額:1000万円÷家:1億円)を取得することになります。

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