トップページ > なっとく法律相談 > マンション内で表札の掲示義務はある?
なっとく法律相談 2007年9月10日 更新
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あるマンションの一室を所有しています。入り口ドアの上に、部屋番号ともに表札を掲げる場所があるのですが、古いマンションでオートロックもないため、ストーカーや押し売り対策、個人情報保護の観点から、表札を掲げていませんでした。
ところが、最近、所有者である私の意に反して、管理組合が表札を掲げてしまいました。管理規約に「表札を掲げなければならない」という規定があるかどうかは確認していませんが、最近、管理組合組織に変化があり、管理強化に動いているようなので、そのためかもしれません。
しかし、個人情報保護の観点から、時代に逆行した規定のように感じられます。また、入居以来数年間、ずっと無表札の状態でしたが、特に問題も発生しませんでした。
管理規約に規定がある場合は、従わねばならないのでしょうか?
(40代:男性)
マンション管理規約は、「建物の区分所有等に関する法律」に規定されています(法30条、以下、「区分所有法」といいます)。
これは、「建物又はその敷地もしくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有相互間の事項」について、自治的な規則として、住民自らが定めることが認められているものです。規約の設定、変更、廃止は、区分所有者及び議決権の各4分の3以上の多数による集会の決議によってできることになっています(法31条1項第1文)。
まず、表札が掲げられるべき玄関ドア付近の外壁の使用形態は、管理規約で定めるべき「建物又はその敷地もしくは附属施設の管理又は使用に関する区分所有相互間の事項」といえるでしょう。
しかし、区分建物といえども、専有部分については、原則としてその所有者が自由に使用収益できるはずですから(民法206条)、それを正当な理由なく妨げる規約条項は無効と考えられます。
この点について、廊下部分、テラスなどは共用部分ですが、玄関ドアは専有部分です。表札を掲げることは使用の一形態ですから、原則として、所有者の意思に委ねるべきでしょう。
さらに、表札は個人の姓名を表記するという私的な性質を有するものですから、掲示するか否かのみならず、表記方法等にも、所有者の意思が最大限尊重されるべきと考えます。
もっとも、区分所有者も、一棟の建物に共に居住する者として、「建物の保存に有害な行為その他建物の管理又は使用に関し区分所有者の共同の利益に反する行為をしてはならない」(法6条1項)という義務を負います。
そこで、「表札を掲げないこと」が「区分所有者の共同の利益に反する行為」といえるでしょうか。
これについては、「表札を掲げることで住民の姓名を外部から知ることができ、それが犯罪防止などに役立つ」という一定の「共同の利益」があるとしても、相談者のご意見どおり、表札を掲げないことには個人情報の保護やセキュリティーの要請からの合理的な理由があります。そして、表札を掲げなくても数年間何の支障もなかった、という事情もあります。
したがって、「共同の利益に反する行為」とまではいえないと考えます。
以上より、表札を掲げないことは区分所有法に違反しないし、管理規約によっても表札の掲示を強制することは許されません。
ただ、表札によって、住んでいる人の教養や趣味がしのばれることがあります。散歩の途中、偶然出合った個性豊かな表札に、心慰む思いをすることもあります。
表札を掲げるにも一考を要するとは、・・・何とも味気ない時代になったものですね。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日
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