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なっとく法律相談  2007年9月18日 更新

訴訟の提起について

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Q.

 話せば長い話になってしまうのですが、訴訟を提起したいと考え、ある弁護士に相談に行ったところ、「勝訴の可能性は1パーセントである」といわれてしまいました。何とか、勝訴に導いてくれる弁護士を探したいのですが、どうしたらいいのか、見当もつきません。
 証人はいるのですが、今ところ、その証人は事実と反したことをいっています。実際の裁判でないと本当のことを話してくれそうにありません。嘘を言って、そういう事実はないといっています。他に証拠はありません。
 短絡的な文章になってしまいましたが、どうかご教示のほどよろしくお願いいたします。

(30代:男性)

A.

 民事訴訟においては、訴えを提起し、自分の主張が正しいと証明する責任(主張立証責任といいます)は、原則として当事者に委ねられています。
 裁判所は、当事者の提出した証拠によって原告の請求が理由のあるものかどうかを受動的に判断するという建前なので、勝訴したいと願う当事者は自ら積極的に訴訟追行をしなければなりません。
 もちろん、公平で充実した審理を実現するため、裁判所がアドバイスのような行為(「積極的釈明」といいます。民事訴訟法149条参照)をすることはあります。しかし、そのような義務が一般的に裁判所に課されているわけではないので、当てにすることはできません。

 そこで、当事者としては、裁判所が「この者の主張が正しい」との心証を抱いてくれるような証拠を提出しなければなりません。
 しかし、それは「この人は嘘を言っていない」というような、漠然とした好印象を抱かせるだけでは足りないのです。
 特に原告は、訴えを退ければ足りる被告と異なり、相手に請求を求めていく立場にあるので、「このような事実が揃えば法律上○○と認められる」という事実(要件事実・主要事実といいます)をもれなく主張立証しなければなりません。

 たとえば貸金請求訴訟で勝訴しようとすれば、請求の原因として、(1)金銭の授受 (2)返還の約束 (3)返還時期の合意 (4)返還時期が過ぎたこと の全てを証明しなければなりません。そのどれについて裁判所が疑いを持っても、請求は棄却されてしまいます。これらが認められたうえで、被告が「借りたのは事実だが、すでに返した」などと防御の主張をしていくことになります。
 俗に「借用証書があると強い」といわれるのは、借用証書には(2)(3)の事実が記載されているのが通常で、しかも契約の内容に合意があったことが債務者の署名押捺で推定されるからです。
 借用証書を紛失した場合や口頭で貸し借りの約束をした場合には、これらを一から証明しなければなりません。そのために証人を探すのですが、たとえ証人が見つかった場合でも、証人には出頭し宣誓し真実を語る義務があるものの(民事訴訟法190条など)、証人が誠実に証言してくれるとは限らないのが現実だからです。

 あなたが相談した弁護士が「勝訴の可能性は1パーセントしかない」と言ったのは、確保できている証人の証言だけでは主要事実の証明が極めて困難だからだと推測します。
 裁判所は、証拠調べの結果だけではなく、「弁論の全趣旨」をもしん酌して(民事訴訟法247条)自由な心証により判断を下すことになっています。
 しかし、請求の原因さえ証明ができないのでは、たとえどんな弁護士が訴訟代理人になったとしても、訴訟上きわめて不利な立場に立つと言わざるを得ません。

(編集部注)
民事訴訟法上、訴訟行為の主体は「裁判所」「裁判長」「陪席裁判官」など特別して規定されていますが、理解しやすいよう、回答文には一律に「裁判所」と記載しています。

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