パラリーガル情報自己破産・債務整理

トップページ > なっとく法律相談 > 2ヶ月で辞めた専門学校。前納した学費は一切返還されない?

なっとく法律相談  2007年9月25日 更新

2ヶ月で辞めた専門学校。前納した学費は一切返還されない?

トラックバック(1件) ブックマーク:このエントリーを含むはてなブックマーク(1) Yahoo!ブックマークに登録(0)この記事をLivedoor クリップに追加(0)

Q.

 私は、今年の4月から2年間の理容・エステの専門学校に入校しました。入学金・授業料・その他の教材費等として140万円くらい支払いました。しかし、入学後2ヶ月で自分には向いてない世界だと感じました。そこで、退学を決意し7月に申し出たところ、前納した1年分の授業料等の一切の返還は認められないと学校側から言われました。一切の返還をあきらめなければいけないのでしょうか。

(10代:女性)

A.

 あなたが専門学校の入学手続を完了した時点で、あなたと専門学校との間で在学契約が成立します。その後、あなたが専門学校に対して在学契約を解除の意思(退学の意思)を伝えたことによって、本件在学契約は解除されます。在学契約が解除されると、同契約は将来に向かってその効力を失うことになります(最判平成18年11月27日)。

 では、入学後に在学契約を解除した場合、入学金や授業料・その他の教材費等(以下、授業料等という)の返還を求めることができるのでしょうか。

 まず、入学金は、学生が学校に入学し得る地位を取得する対価として支払う性質のものです。あなたは入学金を納付することによって専門学校に入学し得る地位を取得した以上、その後に在学契約が解除されても、そもそも専門学校は入学金の返還義務を負いません。したがって、あなたは、専門学校に対して入学金の返還を求めることができません。
 次に、授業料等は、在学契約の目的に従った教育役務の提供や施設利用等の対価として支払う性質のものです。あなたは、退学時までは専門学校から教育役務の提供を受け、同校の施設を利用しています。したがって、あなたは、専門学校に対して退学以前の授業料等の返還を求めることができないのは当然でしょう。

 これに対して、退学以降、あなたは専門学校から教育役務の提供を受けたり、同校の施設を利用することができなくなります。そこで、専門学校に対して、法律上の根拠なくして退学以降の授業料等を不当に利得したとしてその返還を求めること(不当利得返還請求民法703条)ができるのでしょうか。
 専門学校が退学以降の授業料等の返還に応じないのは、いったん納入された学生納付金を返還しないという『不返還特約』を理由としていると考えられます。この『不返還特約』が法律上無効であれば、専門学校は退学以降の授業料等を法律上の根拠なくして不当に利得したといえます。この場合には、あなたは退学以降の授業料等相当額を専門学校に対して返還請求できることになります。
 専門学校とあなたとの間の在学契約には、消費者契約法が適用されることになります。消費者契約法9条1号は、消費者契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定める条項について、同種の消費者契約の解除に伴い事業者に生ずべき「平均的な損害」を超える部分を無効とすると規定しています。授業料等の『不返還特約』は、在学契約の解除に伴う損害賠償額の予定又は違約金の定めの性質のものと解されています(最判平成18年11月27日)。したがって、退学以降の授業料相当額が理容・エステの専門学校(事業者)に生ずべき「平均的な損害」を超えるといえる場合には、退学以降の授業料相当額についての『不返還特約』は無効であり、あなた(消費者)は、専門学校に対してその返還を求めることができます。

 では、「平均的な損害」とはどのようなものを指すのでしょうか。
 一般的に、学校は入学試験に合格しても入学手続前後に相当数の入学辞退者が存在することを見込んで合格者を決定します。その合格者のうち、「ほぼ確実に入学するであろう者」(入学することが客観的に高い蓋然性[がいぜんせい]をもって予測される者)を予測し、どのくらいの収入があるかを計算して、当該年度の支出計画などの予算を策定し教育設備を整えていきます。予算は将来の一定の期間をもって策定されますから、途中で変更することが非常に困難となります。「ほぼ確実に入学するであろう者」が入学を辞退すると、学校は、当該年度の収入として予定していた本来納付されるべき初年度の授業料等相当額の損害を受けることになります。したがって、初年度の授業料相当額が学校に生ずべき「平均的な損害」となります。そして、これを超えない範囲での『不返還特約』は有効と判断されます。「ほぼ確実に入学するであろう者」がどうかは、学校の年度開始日が基準となります。例えば、学校の年度開始日が4月1日であれば、3月31日までに入学辞退をしない者が「ほぼ確実に入学するであろう者」となります。

 これに対して、3月31日より前に入学辞退の申出をしたときは「ほぼ確実に入学するであろう者」と判断されず、その者が納付した授業料等は、学校に生ずべき「平均的な損害」を超えるといえます。また、学校が2年分の授業料等をまとめて前納させた場合には、初年度の授業料等を超える部分が学校に生じた「平均的な損害」を超えるといえます。これらに対する『不返還特約』は無効といえます。
 あなたは、専門学校に初年度の授業料等のみを前納し2か月間通学しています。あなたが在学契約を解除しても、授業料相当額は専門学校に生ずべき「平均的な損害」と判断されることになります。そうすると、あなたが前納していた退学以降の授業料等に対する『不返還特約』は有効となります。

 したがって、あなたが専門学校に対して退学以降の授業料等の返還を求めることは認められないと考えられます。

連情報

トラックバック

» 預金契約 (MONEY’S ECONOMY NOW)
預金者は銀行に金銭を預ける意思がある。 銀行は後日、同額の金銭を返還する意思がある。 消費寄託契約 民法666条

メールマガジン「知らなきゃ損する面白法律講座」

まぐまぐ!殿堂入りメールマガジン」に選ばれた、法律関係では購読者数No.1のメルマガを毎週火曜日にお届けします。登録は無料です。(詳細

登録はこちらから 

っとくアンケート

日本で無罪が確定した人物が外国で再び審理を受けることの是非について

  途中経過

» いわゆるロス疑惑と「一事不再理」の原則

着質問(法律Q&A)

2008年5月17日 10:56:35
子供の面会、養育費について
2008年5月17日 00:57:37
サークル運営費振込み請求に関する質問
2008年5月16日 19:45:15
地方税の未納者に対する差し押さえについて
2008年5月16日 15:11:17
酒気帯び運転についての罰則
2008年5月16日 12:00:50
弁護士以外でも示談交渉は出来ますか?
みんなで納得!法律Q&A

な検索ワード RSS 1.0

第1位
Q (217)
第2位
妻名義 or 家 or 住宅ロ-ン控除 (692)
第3位
損害賠償 (308)
第4位
職場 (189)
第5位
自動車 (126)