トップページ > なっとく法律相談 > 代表取締役が同業の別会社を設立!
なっとく法律相談 2007年10月22日 更新
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弊社の代表取締役が、私達役員に内緒で、同業の会社を設立し、そこの代表取締役に就任している事が判明しました。これは弊社の利益を損なう行為だと思うのですが、何か法的に訴える手段、方法があるのでしょうか?
(30代:男性)
あなたの会社の機関設計について、相談文からは明らかではありません。そこで、一般的な見解としてお答えしたいと思います。
会社法のもとで取締役が競業行為(当該取締役又は第三者のために株式会社の事業の部類に属する取引をすること)をするには、(1)取締役会の事前承認を受けなければならず、また(2)事後的に取締役会へ報告をしなければなりません(会社法356条1項1号、365条1項・2項)〔取締役会が設置されていない会社の場合には株主総会の事前承認のみで足ります〕。これは、取締役による競業行為により、会社が取得できたはずの取引の機会が奪われ、または会社機密が流用されることにより会社に損害が及ぶことを予防するための規制です。では、本件代表取締役による(ア)同業を目的とする会社を設立したことおよび(イ)その会社の代表取締役就任は同規制に反する行為であると言えるでしょうか?
会社法356条1項1号により規制される取引の範囲は、自己または第三者のために会社の事業の部類に属する取引をすることに限定されています。したがって、同業を目的とする他の会社の取締役になること自体は会社法の規制対象となりません。しかし、(ア)同業を目的とする会社を設立することは会社の取引の機会を減少させる行為と言えますし、(イ)そのような他社の代表取締役としてその会社の対外的業務執行をすることは会社機密が流出する危険を伴います。そこで、それらの行為は会社法356条1項1号によって規制される行為であると考えられます。そして、本件代表取締役は(1)取締役会による事前の承認を受けず、また(2)事後的に取締役会へ報告もしていません(取締役会がない会社なら、総会承認を欠いている)。したがって、本件代表取締役の(ア)同業を目的とする会社の設立および(イ)その会社の代表取締役に就任は、競業取引規制(356条1項1号)に違反する行為であると言えます。
一方、会社法とは異なる競争政策の観点から、取締役が競争関係にある他社の役員を兼務すること自体が禁止されています(独禁法13条)。したがって、この観点からも、本件代表取締役の行為は違法行為となります。
では、このような違法行為をした取締役に対し、会社はどのような対処ができるでしょうか?
いかに競業取引規制に反する行為であっても、外部的になされた取引は有効となります。そこで、将来行われる競業取引を防止するため、まずは今後行われうる競業行為を差止めることが考えられます(会社による差止請求について明文はありませんが、競業取引が規制される当然の結果として認められます)。
次に、本件代表取締役の行為は法令違反行為であり解任事由に相当しますから、株主総会を招集した上で解任決議を行うことも考えられます(339条)。なお、会社法の規定に違反した者は、刑の執行を受けることがなくなった日から2年間は取締役となれなくなります(331条1項3号)。
さらに、取締役が法令を遵守することは会社に対する職務上の義務に属しますので(最判H12.7.7)、善管注意義務(330条、民法644条)および忠実義務(355条)に反するものとして、任務懈怠に基づく損害賠償請求をすることも考えられます(423条1項)。
なお、一般の取締役には代表取締役の業務執行一般を監視・是正する責任があります(最判S48.5.22)。そこで、代表取締役の違法行為を放置した場合、今度はあなた方役員の任務懈怠責任が発生しうることを注意的に付記しておきます。
集計期間: 2008年7月27日-8月2日
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