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なっとく法律相談  2007年10月29日 更新

口頭での相続放棄は有効?

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Q.

 父が亡くなり、遺言書には私に全ての財産を相続させるとありました。後妻である継母は、「その遺言書は父と相談し、私も納得して書いてもらったので、何もいらない。」と私に言っていましたが、7ヶ月ほどたってから、内容証明で遺留分減殺請求をしてきました。遺留分を渡さないといけないのでしょうか?

(40代:女性)

A.

 あなたがお知りになりたいのは、「一度は『何もいらない』と言っておきながら、『やっぱり遺留分は渡してくれ』という継母の言い分が通るのか?」だと思われますが、残念ながら、本件の場合、あなたは継母に遺留分を渡さなければならないと考えられます。以下、その理由をご説明します。

 まず、継母は、配偶者として、お父様の相続人としての地位にあります(890条)。そして、相続人が相続を放棄した場合、その相続人は最初から相続人とはならなかったものとして取り扱われます(939条)。では、「何もいらない」と言ったが相続の放棄をしたことになるのでしょうか?
 単に「何もいらない」と口頭であなたに伝えたことは、民法上の相続放棄939条)にはあたりません。それは、民法上の相続放棄が要式行為であり、家庭裁判所に対する申述としてなされなければならないものだからです(938条)。申述がなされれば、家庭裁判所は本人の意思確認を行います。そして、本人の意思によるものであることが確認できた時、相続放棄は効果を生じることになります(通常は本人宛の照会書が届けられ、それに対して回答書を返送するという手続で行われます)。つまり、相続放棄がその者の真摯な意思によるものであるかどうかを審査するため、法は相続放棄に一定の手続きを要求しているのです。したがって、継母はお父様の相続人のままであることになります。

 もっとも、お父様はあなたに全財産を相続させる旨の遺言を残しています。この遺言が有効であるとした場合、これにより、あなたはお父様の全財産を相続することになります。しかし、ここで継母が遺留分減殺請求をした場合、事態はどのように変化するのでしょうか?
 遺留分制度は、被相続人(お父様)の財産処分の自由と遺留分権者(継母)の生活の安定を調整する制度です。そのため、遺言の効力に直接影響を与えるものではありません。ただ、あなたに帰属した相続財産総額のうちの遺留分相当額(継母は配偶者なので1/4)は、遺留分減殺請求がなされることによって、遺留分権者(継母)に当然に帰属することになります(1028条1034条)。継母が内容証明郵便で遺留分減殺請求をしたのは、これによって減殺請求をしたという証拠を残す趣旨であったと思われます。

以上のように、継母が減殺請求をした内容証明郵便の到達により、あなたが相続した総財産のうちの1/4の価格は継母の所有に帰属したことになりますから、この部分は継母に渡さなければなりません。

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