トップページ > なっとく法律相談 > 自宅に侵入した他人の猫に飼い猫が怪我を負わせました
なっとく法律相談 2007年11月22日 更新
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我が家では猫を飼っています。いつも家の中にいるのですが、二階の窓を開けて、必要なときは庭に出られるようにしてあります。
ところが先日、隣家の猫がその窓から侵入したため、撃退しようとした我が家の猫が隣の猫に怪我をさせてしまいました(その事実は私と隣人が窓越しに見ています)。
隣人から治療費を請求されていますが、払う必要があるのでしょうか。
(20代:女性)
動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負います(民法718条)。ただし、動物の種類や性質に従って相当の注意をもってその管理をしたときは、その責任を問われることはありません(同条ただし書)。
また、特別法としては「動物の愛護及び管理に関する法律」があり、その5条が環境大臣に動物の愛護及び管理に関する施策を推進する基本方針を定めることを委任しているため、環境省は「家庭動物の飼養及び保管に関する基準」を定めています。
その中に、猫の管理についての定めがあります(同基準第6)。
読んでいただければ分かるように、この基準は飼い主に対しガイドライン、努力義務を提示するにすぎません。しかし、現在の行政(環境省)の意識、すなわち、「社会通念上猫をどのようにして飼っていれば、現代の社会において『相当の注意をもってその管理をした』と評価されるのか」を知る「基準」となりえます。
これをみると、(1)周辺地域に応じた飼い方をすることと、(2)屋内飼養を推奨していることがあげられます。
まず、(1)都会と地方、自然が多い地域・閑静な住宅街と繁華な地域とでは、飼い方に求められるものが違ってくるのは当然と思われます。それを無視すれば、飼い主や動物に不必要な負担を強いることになります。基準でもそれが考慮されています。
また、(2)ご存知のように、猫はごく自然に屋外を出歩き、時々は「旅」に出たりして、気ままに生活する性質があります。しかし、車が渋滞しバイクが疾走するという屋外環境では、外へ出してやることが「不慮の事故」につながり、かえって猫のためにならないことが予想されます。
これらの観点から今回の事件を見てみると、(1)相談者がお住まいの地域がどのような環境であるかは明らかではありませんが、おそらく普通の住宅街ではないでしょうか。
そして、(2)相談者の猫は、自宅の庭に出ることがあったとしても他人の家や公道に立ち入ることはないという習慣、性質を持っているということです。このような個体ごとの習慣・性質は猫においては大変強固であり、特別の事情がない限り、通常と異なった行動をとることはありません。
そうだとすると、相談者は環境と動物の性質に応じて「相当の注意をもってその管理をした」と認められます。逆に、相当の注意を払っていないのは、他人の家に侵入するような性質の猫を放し飼いにしている隣家の飼い主です。
したがって、相談者は損害賠償責任を負うことはありません。
集計期間: 2008年5月4日-5月10日