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なっとく法律相談  2007年12月 6日 更新

叔母の学歴詐称について、誰が訴えを起こせますか?

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Q.

 30年前、叔母(亡き母の妹)の夫は、勤務していた税務署を辞め、税理士事務所を開きました。しかし、当時は顧客も少なくて生活に困っていたため、叔母は旧制女学校しかでていないのに、大学卒業と詐称して、関東の私立高校に就職し、被服科教師として10年間勤務しました。現在、叔母と付き合いはありません。
 彼女の学歴詐称については、絶縁しているとはいえ「亡き母の妹」と思って黙っているつもりでした。しかし、たまたま共通の友人と話していたところ、彼女が私の父母について事実無根の嘘を言いふらしていると知りました。そこで、教師の資格のない人に10年間も教えられた学生さんのためにも、明るみにして道義的責任を明らかにしたいと思います。
 妻が旧制女学校の学歴しかないにもかかわらず、教師として給料を騙し取っていたことを諌めなかった税理士の夫も、罰せられるべきです。
 この問題は、どこに言えばいいですか。国税局総務部が税理士のお目付け役と聞きましたが、民事訴訟を起こす場合、誰がどういう名目で起こせますか。

(50代:女性)

A.

 訴訟は、大きく、刑事訴訟民事訴訟行政訴訟に分類することができます。
 誰が訴訟を提起できるかは、訴訟の種類によって異なります。
まず、刑事訴訟は、検察官が、公益の代表者として、犯罪行為を行ったと考えられる被告人に対して提起するものです。したがって、私人が提起することはできません。
私人は、被害者となった場合に犯人の処罰を求めて告訴刑事訴訟法230条)するか、第三者として捜査機関に対し犯罪事実を申告して告発同239条1項)する等の方法で関与できるにすぎません。
次に、行政訴訟は、国民の権利利益を救済し、行政の適切な運営を確保するために提起されるものです。私人が提起することができますが、原則として、訴える人が行政庁の行為によって何らかの権利を侵害されていることが必要になります。
また、民事訴訟は、原告が被告との関係で権利を主張して、その当否につき裁判所に判断を求めるものです。したがって、私人が提起することができますが、被告人たる相手方に対して主張すべき権利があることが前提です。
このように、原告として訴えを提起するには、原則として、訴える人の具体的な権利が侵害されていることが必要となります(原告適格といいます)。
なぜなら、裁判制度は法律により国民の権利を保護し実現するためのものなので、権利侵害が具体的な事件の形で現実化している場合に、法律によって、その事件に最終的に決着をつけられる場合に限って行われるべきだからです。
裁判により、道義的責任だけを追及することは認められていません。

では、叔母さんが学歴を詐称したことにより、あなたに何らかの権利侵害が発生しているでしょうか。
もちろん、学歴詐称は道義的に許されるものではありません。しかし、叔母さんを教師として採用した私立学校が、学歴詐称という詐欺により損害を被ったとして叔母さんを訴えることは可能でも、あなたに何らかの損害が発生しているかというと、これを立証するのは困難ではないでしょうか。
むしろ、あなたの父母を中傷したことを理由として名誉毀損刑法230条)、侮辱罪同231条)で刑事告訴するか、不法行為民法709条)に基づく損害賠償請求訴訟を提起する方が、まだしも現実的といえます。
なお、税理士の夫を罰する可能性があるとすれば、叔母さんに詐欺罪が成立し、しかもその共犯と認められた場合でなければなりません。

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